葬儀の喪主を任されることとなった場合に、挨拶をいつすればよいのか、どのようなことを話し、どのような点に注意すべきか分からない方は多いのではないでしょうか。
今回の記事では、急に喪主挨拶が必要になったときでも参考になるよう、喪主挨拶をいつするのか、ポイント、マナーを解説しています。また、必要なタイミングそれぞれの例文も紹介しているため、参考にしてみてください。
葬儀での喪主挨拶はいつ必要か
葬儀で喪主挨拶が必要になるタイミングは次の3つです。
- 通夜
- 告別式
- 精進落とし
それぞれのタイミングを解説します。
通夜
喪主はまず、参列者に対して感謝の意を述べます。感謝の言葉を通じて、参列者が共にこの時間を過ごしてくれたことに深い感謝を述べましょう。
また、通夜振る舞いが予定されている場合、案内を忘れてはいけません。通夜振る舞いは、故人の冥福を祈りつつ、参列者との交流の機会でもあります。そのため、喪主の案内が円滑に行われることは、通夜の進行をスムーズにし、参列者の心地よい参加を支える役割として欠かせません。
通夜での挨拶のタイミングは、僧侶の読経と焼香が終わった後、通夜振る舞いに移る前になります。
告別式
告別式での喪主挨拶は、故人を偲び、参列者に向けて感謝の意を伝える機会です。まず、告別式が始まる前に、僧侶を迎えて簡単な挨拶をします。この挨拶は、僧侶と協力し、式の進行を円滑にするために必要です。
全体への挨拶のタイミングは、お別れの儀や出棺が終了した後に行われます。これは、故人に最後の別れを告げる場面です。喪主は、参列者に対して感謝の意や故人を偲ぶ思いを伝えましょう。挨拶の後、火葬場に移動し、火葬および収骨の儀式が行われます。
告別式の後には、精進落としの会食が行われることが多いです。喪主は、この会食の進行や案内を忘れずに行う必要があります。
精進落とし
精進落としでの喪主挨拶は、全員が席に着いたら最初の挨拶を行います。喪主は感謝の意を表し、式を滞りなく終えられたことに対するお礼を述べるのが一般的です。また、献杯を行い、故人への思いを共有します。
開始から1時間程度過ぎたあたりで、タイミングを見て再度挨拶を行います。この挨拶では、参列者との交流や感謝の意を再確認し、故人を偲びましょう。挨拶では、納骨や法要の予定の案内を忘れてはいけないことに注意が必要です。
葬儀で喪主が挨拶する際のポイントやマナー
喪主が挨拶する際に気を付ける点がいくつかあります。挨拶のポイントや、マナーを紹介するため、参考にしてみてください。また、カンペを使用するのは失礼にあたるかどうかも解説します。
挨拶のポイント
喪主挨拶で抑えるべきポイントとして、関係性の明確化が挙げられます。参列者に対して、参列者に自分が故人とどのような関係性であったかを明確に伝えましょう。例えば、家族、友人、同僚など、関係性を述べることで、喪主の立場を理解しやすくします。
また、喪主としてだけでなく、故人の立場になって参列者に対する感謝を述べることも重要です。参列者や遺族への支えに感謝の意を表し、感謝の気持ちを強調します。
挨拶は、故人を偲ぶのが主要な目的であるため、故人とのエピソードを交えて話すこともポイントです。感動的な瞬間、共有した経験、笑い話など、共感を呼ぶエピソードを共有することで、故人を思い出させます。
ただし、故人のイメージを下げるようなエピソードは控えるべきです。喪主挨拶は故人を称える場であるため、尊重と尊厳を保つために慎重にエピソードを選びましょう。
挨拶のマナー
喪主挨拶では、忌み言葉は避けるべきです。これらの言葉は不幸や縁起の悪さを意味するとされ、喪主挨拶には不適切な内容となっています。
まず、同じ語を重ねて使う言葉は、不幸が重なることを連想させるため、避けましょう。例えば、「重ね重ね」「度々」「ますます」などの言葉は忌み言葉とされます。
また、喪主挨拶では、繰り返しや再発を連想させる言葉も避けなければなりません。例えば、「繰り返し」「再び」「続いて」などが該当します。
忌み言葉については次の記事に詳しくまとめているため、興味のある方は参考にしてみてください。
マナーは地域や宗教によって異なります。一部の地域や宗教では特有のルールが存在するため、文化や習慣に注意が必要です。地域や宗教に関する情報を事前に調査し、適切なマナーを守るように心掛けましょう。
カンペを使ってもよいか?
喪主挨拶は葬儀の中で何度も行う場面があります。故人への感謝の意やエピソードを述べるため、多くの要点をカバーすることが必要です。そのため、カンペを用意することは失礼にはあたりません。
葬儀の準備は感情的にも肉体的にも負担が大きいため、特に人前で話すのが苦手な人にとっては、カンペを用意することが助けになります。カンペがあれば、挨拶を忘れずに的確に行えるでしょう。
カンペを用意しておくことは、喪主にとって安心感をもたらす要素です。カンペには箇条書きやキーワードを使って簡潔に要点を示せます。これにより、喪主は挨拶をスムーズに進行できるでしょう。
喪主挨拶の例文
ここでは、喪主挨拶の例文を紹介します。挨拶が必要になる通夜、告別式、精進落としそれぞれの例文を紹介するので、参考にしてみてください。
通夜
通夜終了時の喪主挨拶例文は次の内容となります。
「皆様、今晩は故〇〇の葬儀に多くご参列していただいたことに感謝しています。ご友人、ご家族、近隣の皆様に参列いただき、父もきっと皆様の優しい思いに感謝していることでしょう。通夜は故人の冥福を祈り、共に時を過ごす大切な時間となりました。明日、葬儀は〇〇時に〇〇にて執り行われますので、お時間に余裕を持ってお越しいただけるようお願い申し上げます。
また、別室にお食事の席も用意しております。皆様との交流を通じて、故人の思い出を共有できればと思っております。どうぞお気軽にご参加ください。
最後に、心温かいお見舞いのお言葉、お花、そしてお心遣いに心からの感謝を申し上げます。故人とともに、皆様と共有できることに感謝しています。ありがとうございました。」
告別式
告別式での喪主挨拶例文は次の内容となります。
「皆様、ご出席いただき、心より感謝申し上げます。私は父の葬儀を喪主として進行させていただきます。父は私にとって偉大な存在で、共に過ごした数々の瞬間を大切にしています。彼の思い出と共に、感謝の気持ちで胸がいっぱいです。
父は楽しいことが大好きで、私たちに笑顔と明るさを教えてくれました。彼とのエピソードを振り返ると、彼の愛情と指導に感謝の念が溢れます。彼の優しさと勇気に感銘を受けました。
皆様のおかげで、父の最後の別れが温かく、尊厳あるものとなりました。これからも父の思い出を大切にし、彼の教えを守りながら生きていきたいと思います。
最後に、お見舞いのお花、励ましのお言葉、そして温かいサポートに感謝の意を表します。父も、きっと皆様の優しさに包まれていることでしょう。本当にありがとうございました。」
精進落とし
精進落としでの喪主挨拶例文は次の内容となります。
「皆様、葬儀と告別式が滞りなく終了し、多くの方にお越しいただき、心より感謝申し上げます。故人の冥福を祈る場で共に過ごすこの時間を、大切な瞬間と感じています。
精進落としの席をご用意させていただきました。お互いに思い出を語り合い、心の支えになることを願っています。どうぞゆっくりとおくつろぎください。
今日は故人への最後の別れと共に、皆様の温かさと共に感情を分かち合いたいと思います。お花やお言葉、そしてお越しいただいたことに、心から感謝いたします。ありがとうございました。」
まとめ
今回の記事では、葬儀での喪主挨拶のポイントやマナーを解説しました。葬儀で喪主挨拶が必要になるのは次の3つのタイミングです。
- 通夜
- 告別式
- 精進落とし
挨拶をする際は、関係性の明確化や故人の立場に立つこと、故人を思い出させるエピソードを述べることに気を付けましょう。また、忌み言葉の使用には特に気を付けなければいけません。
通夜、告別式、精進落としそれぞれの挨拶例文を紹介しているため、参考にしてみてください。