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葬儀で用意する六文銭とは「由来や納棺方法を徹底解説‼」

人生において、死と向き合う機会は何度も訪れることでしょう。しかし、私たちは普段、死について考えることは少ないものです。

六文銭は、古来から日本で行われてきた葬儀の際に使用される小さなお金です。このお金は、亡くなった人が死後の世界で安心して生活できるようにとの願いを込めて渡されます。

その納棺方法には、さまざまなルールや習慣があります。

そこで今回は、葬儀で用意される六文銭について、その由来や納棺方法を徹底解説します。

由来や納棺方法に注意することで、あなたが葬儀で六文銭を扱う時に役立てることができるでしょう。

葬儀で用意する六文銭とは

葬儀で用意する六文銭は、古くから日本の葬儀の際に使われてきたものです。その由来や使われ方について、以下のような点を解説します。

  • 六文銭の由来
  • 三途の川とは

六文銭の由来

六文銭の由来は、江戸時代の旅人が持ち歩いていた旅費や、地蔵菩薩に備えることを起源を持ちます。旅人は、自身の安全と旅の成功を祈願して、六文銭を身に付けて旅に出ました。

江戸時代の旅人が身に付けていた旅費

六文銭とは、もともと江戸時代の旅人たちが、旅費に持つお金をいいました。

旅人たちは、旅で利用する宿や食事の支払いに、六文銭を使用していました。六文銭は、金属製で小さく、持ち運びやすいという特徴があります。当時の旅人たちは、六文銭を身に付けることで、旅先での支出に困ることがなかったのです。

旅費に用いる六文銭が転じて、故人の棺に入れられる冥銭(めいせん)のことを指すようになります。実際には、硬貨としての六文銭は存在せず、一文銭が6枚揃った状態を指していたのです。

現代の私たちにとって、六文銭はどれくらいの価値を持つのでしょうか。六文銭を現代のお金に換算すると、約200円程度の価値があるといわれています。今の私たちが使うには、少し物足りないかもしれませんが、江戸時代の旅人にとっては十分な金額でした。

六文銭は現在でも、故人の冥福のために葬儀の副葬品として棺に入れられています。この名残りは、江戸時代から続いており、現代の葬儀においても大切な役割を果たしているといえます。

六道にいる地蔵菩薩に供えるため

もう1つは、仏教の信仰から、六道にいる地蔵菩薩に供えるためにも六文銭が用いられました。

「六道」とは、人間が生まれ変わるたびに輪廻し、6つの世界を巡るといわれるものです。

順番に「天上道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道」となっています。その中で、自分の意思で仏の教えを学び、悟りを得ることができるのは「人間道」だけです。

これら「六道」に転生しても、人々を救う存在として信じられているのが、「お地蔵さま(地蔵菩薩)」とされ、「六地蔵」とも呼ばれています。

地蔵菩薩は、出家した僧侶や子どもの僧侶のような姿をしているといわれています。六道をめぐり、人々の苦難を一身に引き受け、優しさと慈悲に満ちた存在です。また、ある地域では子供たちの守り神としても崇められています。

また、「六地蔵」の数字にちなんで「六道銭」が三途の川の渡し賃になったとも考えられています。

三途の川とは

葬儀の際には、死者の魂が通るとされる三途の川があります。古くから三途の川は、亡くなった人が7日目に渡るといわれている川といわれており、死後における幽冥の世界をあらわしています。

三途の川では、善人や罪が軽い人、重罪人で渡り方が異なるとされています。

善人が渡る場合

善良な人々も、三途の川を渡るためには六文銭が必要です。 三途の川の渡し船は、立派な船で、善く生きた人々だけが利用できます。かつては、橋を渡っていたとされていた三途の川も、平安時代末期には渡し船でわたるという考えに変わりました。

それによって、三途の川の渡し料として六文銭が必要とされるようになったとされています。

罪が軽い人が渡る場合

罪の軽い者は、六文銭以外にも厄払いのためのお札やお守りなどを持ち、浅水瀬を通って三途の川を渡ることができます。

罪の重さが軽い者が通れる浅水瀬は、水が浅く、歩いて三途の川を渡ることができるといわれています。

重罪人が渡る場合

一方、強深瀬は悪人が通る場所として知られています。

特に重罪人に対しては、特別な処置が必要とされます。一般には、罪を犯した者の名前が墓石に刻まれ、それを六文銭で祓うことで、三途の川を渡ることができるとされています。

六文銭の納棺方法

六文銭は、葬儀においても重要な役割を果たします。その納棺方法についてご紹介します。

六文銭の納棺方法の手順は大きく分けて、以下のようになります。

六文銭の納棺方法

【手順1】頭陀袋に入れる

【手順2】頭陀袋を首から下げる

順番に解説します。

【手順1】頭陀袋に入れる

死装束は、現在では葬儀社がほとんど用意してくれますが、遺族が故人に思いを寄せたい場合もあります。

最近では、紙製の経唯子などを納棺の際に遺体にかけるだけの流れも増えています。最初に、六文銭といったお金の絵がプリントされた紙を頭陀袋に入れます。頭陀袋は、死者の前で特別な儀式が行われた後に使用される袋であり、その中に六文銭を入れます。

【手順2】頭陀袋を首から下げる

日本では、死者の首に頭陀袋に入れた六文銭を下げます。

これは、亡くなった人が冥界での旅立ちに必要なものを持ち続けるためです。六文銭は胸に寄り添うように首に下げられ、亡くなった人の霊魂が安心してこの世を離れられるようにと願われています。

真田家の旗印としても有名

六文銭は、真田家のシンボルとしても知られています。

真田家は、戦国時代に活躍した武将の一族であり、その家紋には六文銭が使われていました。六文銭の家紋が真田家に採用された理由は、真田幸村の祖父である真田幸隆が選んだといわれています。

もともとは本家筋の海野(うんの)家の家紋だったとされていますが、真田家では「戦で命を失っても恐れない。いつでも死を覚悟している」という意味で、六文銭を旗印や兜の飾りに使っていました。

大阪の陣での真田幸村を含む武将たちの活躍に触発されて、講談(難波戦記物)が人気を博しました。その物語の中で語られる六文銭が一般的に知られるようになり、やがて「真田家=六文銭」というイメージが広まりました。

葬儀における六文銭の注意点

葬儀で六文銭を用意する際には、以下のポイントに気をつけましょう。

葬儀における六文銭の注意点

本物のお金を棺に入れることは避ける
かつては本物のお金で埋葬されることもあったようですが、現代では使用されておらず、火葬しても残ってしまうため、実際の貨幣を棺に納めることを禁じられています。

木製の六文銭を用意する方法もある
紙に印刷された六文銭やおもちゃのお札ではなく、できるだけ本物に近いものを故人に持たせたいという方もいるでしょう。そのために、木製の六文銭が販売されています。木製のレプリカならば法律違反や燃え残る心配もありません。

まとめ

葬儀で用意する六文銭は、日本の伝統的な葬送文化において重要な役割を果たしています。

六文銭を持たせることにより、故人が冥界で旅立つ際に必要な費用を支払うためのものであり、その魂が安らかに次の世界へと導かれることを願っています。

葬儀で用意する六文銭の意義や伝統を理解することは、大切な故人を弔ううえでとても重要です。六文銭は単なる通貨ではなく、心の中での思いやりや感謝を込めて扱うべきものです。

葬儀に参列する際、六文銭の由来や使われ方を理解し、故人を自信をもって弔いましょう。その故人の魂が安らかに次の世界へと旅立つことを願い、心を込めた手向けを行うことが大切です。