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葬儀の時のアクセサリーについて

葬儀の装いにアクセサリーは必要かどうか

葬儀には、故人を悼み控えめな装いで参列するのがマナーです。現在、もっとも着用する機会が多いのが、準礼装にあたる洋装の喪服になります。

この記事では、喪服に適したアクセサリーの解説をします。本来、葬儀では結婚指輪以外はつけないものとされていました。近年は、弔事用のアクセサリーとして認められているものがあります。

アクセサリーにも葬儀にふさわしいもの、タブーになるものがあります。マナーを知らないでいると、ご遺族や他の会葬者に不快な思いをさせかねません。

洋装のアクセサリーでは、真珠のネックレスがポピュラーです。しかし、つけないとマナー違反ということではありません。一方で、アクセサリーをつけることでフォーマル度が上がる、と考える人も一定数います。

モーニングジュエリーとは

日本に洋装の喪服が広がり始めたのは、戦後のことです。洋装のマナーやアクセサリーも西洋から日本に伝わりました。

ヨーロッパには「モーニングジュエリー」という、喪に服す際に身に着けるジュエリーの伝統があります。モーニング(mourning)は「悼むこと、追悼、服喪」の意味です。

日本では昭和30年代以降、喪主や遺族以外は洋装の喪服を着るようになり、アクセサリーをつける習慣も徐々に定着しました。

葬儀の装いでマナー違反と考えられること

マナーの基本は、周囲の人々に不快感を与えないことです。葬儀の装いでは「なにをするか」よりも「なにをしてはいけないか」を意識するとよいでしょう。

葬儀で個性的である必要はありません。他の会葬者と同レベルのフォーマルさが求められます。ひとりだけ目立ったり浮いたりしていると、自分自身も居心地の悪い思いをすることになります。

「着ける」より「外す」、「加える」より「差し引く」ことを基本に考えれば、難しくはありません。弔事でマナー違反に映る、以下の要素をなくせば、ほぼ安心です。

派手であること

化粧、髪型、髪色、ネイルが派手。黒の服装でも、華やかな装飾や光沢のある洋服を着ていること。メガネのカラーフレームやカラーコンタクトも派手に見えます。

光り物を身に着ける

ゴールドのアクセサリー全般、ピンクやゴールドの真珠、ジェット、オニキス、黒曜石以外の宝石全般、ゴールドの時計、光る金具のついたバッグ、靴、ベルトなどが該当します。

カジュアルな装い

喪服の素材は、ウールかポリエステルです。葬儀の服装は、黒ならどれでもよいと考えている人もいるかもしれません。しかし、黒でも生地に地模様が入ったもの、ニットや綿素材はカジュアルで、葬儀には不適切です。

厚いタイツ、ヒールのないフラットシューズも普段着の要素が強いので避けます。ただし、高齢の人や妊娠中の人はフラットシューズで安全を期してください。

色柄物の小物

ハンカチは、小さくても意外に目立つものです。傘、トートバッグなども、カラフルなものを持参しないようにします。ハンカチは礼装用が販売されています。喪服やバッグ、靴などとセットで持っておきましょう。

例)楽天市場 礼装用ハンカチ

葬儀で使えないアクセサリーの具体例

以下は、葬儀で使うとマナー違反とみなされるアクセサリー類です。

  • 白、グレー、黒以外の真珠(ピンク、ゴールドなど)のネックレス、ピアス、イヤリング
  • 白、グレー、黒の真珠でも形状がバロック(凹凸のあるもの)やオーバル(楕円形の粒)など球形でないもの
  • ゴールドチェーンのネックレス、ペンダント
  • ぶら下がるタイプのピアス、イヤリング
  • 宝石の指輪
  • ゴールドの結婚指輪
  • ミニダイヤなど宝石が埋め込まれた結婚指輪、エタニティリング
  • コサージュ、ブローチ
  • タイピン、カフス
  • 腕時計の一部(条件を満たしていれば可)
  • 黒以外のヘアアクセサリー(カチューシャ、光る素材がついたバレッタなど)

葬儀で使用できるアクセサリーの具体例

以下は、葬儀でつけてもよいアクセサリー類です。

  • 真珠のネックレス(粒が8㎜前後のラウンド型、長さが40㎝前後、カラーは白、グレー、黒)
  • 真珠のイヤリング、ピアス(ラウンド型の白、グレー、黒)
  • ジェット、オニキス、黒曜石のネックレス、ピアス、イヤリング
  • 結婚指輪(プラチナ、ホワイトゴールド、シルバー製で宝石がついていないもの)
  • 黒のヘアアクセサリー(光沢や地模様のないリボン、バレッタのみ)

葬儀で外したほうがよい腕時計とは

腕時計もファッション性が高いものは、アクセサリーのカテゴリーとみなされます。葬儀で時計を外すかどうかは、時計の種類やデザインしだいです。

外す腕時計

  • 派手でカジュアルな時計
  • ゴールドの時計や宝石が入っている時計
  • スマートウォッチやデジタルウォッチ

着用してよい腕時計

  • モノトーンでシンプルな丸型か四角型の文字盤のもの
  • ベルトの色が黒・シルバー・落ち着いた茶色のもの

フォーマルなアクセサリーをひとつ買うなら白真珠ネックレス

フォーマルなネックレスをひとつ購入するのなら、白真珠のネックレスはいかがでしょうか。

おすすめの理由

  • 真珠には「涙の象徴」という意味があり、定番のアクセサリーとして人気があります。
  • 白真珠は汎用性が高い宝石です。弔事のみならず、冠婚葬祭全般に使えます。たとえば、結婚式、子どもの入学式や卒業式、授賞式のような式典、フォーマルな場に広く使えるネックレスです。
  • カジュアルな装いにも使え、ニットなどに合わせてもおしゃれで華やかになります。
  • はやりすたりがなく長く使え、広い年齢層の人に似合います。

おすすめの白真珠とは

  • 種類:アコヤ真珠のラウンド型(球形)
  • サイズ:粒の直径が7.5〜8.0㎜なら慶弔両用で使うことができます。粒が10㎜になると弔事には向かず、慶事にのみ使えます。逆にサイズが小さすぎるものはカジュアル感が強く、冠婚葬祭には向きません。
  • 長さ:ネックレスは、長さによりイメージが変わります。慶弔両用なら40㎝前後が基本です。首に詰まりすぎず長すぎず、鎖骨に触れる長さが美しく見えるといわれています。
  • ネックレスとイヤリングかピアスのセットも、多数販売されています。

真珠でも弔事には使えないもの

ひとくちに真珠といっても、たいへん多くの種類があります。サイズ、カラー、形状によっては喪服には適切でないものがあります。

  • 白、グレー、黒以外のカラー真珠(ピンク、ゴールドなど)は使えません。
  • 形状がオーバル(楕円)、バロック(凹凸あり)などの淡水真珠はカジュアル用です。
  • 2連、3連のネックレスは「悲しみが重なる」意味で使えません。
  • ロングネックレスは「悲しみが長引く」意味で使えません
  • ぶら下がるタイプのイヤリング、ピアスも不適切です。

真珠のネックレスの購入先

真珠の購入先は楽天市場やAmazonなどのネットショップ、宝石店やデパートなどの実店舗が考えられます。

ネットショップ

  • メリット

店舗運営費や人件費が実店舗ほどかからないため、実店舗より安価な傾向にあります。自宅にいながらパソコンやスマートフォンで商品比較ができ、実店舗を何件も回る必要がありません。

  • デメリット

しかし購入時に実物を見ることができない、手にとれない、試着ができないのは大きなデメリットです。また、偽物、コピー品が出回っている可能性も否めません。

実店舗:宝石店、デパート

  • メリット

宝石店やデパートは信頼性が高く、実物を手にとり試着もできるのがメリットです。特に真珠のような高額な買い物は、アフターサービスや保証が充実している店舗が安心です。

  • デメリット

総じて、ネットショップより価格が高く設定されています。

真珠のネックレス価格帯

アコヤ真珠の価格帯は、手ごろなものから高額なものまで非常に広く、予算の設定に迷ってしまいます。真珠のネックレスにどれくらいの金額を費やすことができるかを考え、予算の範囲を明確に決めるとよいでしょう。

■こんなにも広い価格帯

  • 7㎜:5~50万円
  • 7.5㎜:8~70万円
  • 8㎜:10~100万円

こちらのショップでは購買価格帯は5〜20万円がもっとも多いとのことです。

参考:ビジュピコ

黒真珠とは

冠婚葬祭の書籍やサイトには「葬儀で使用できる真珠のカラーは白、グレー、黒です」と記載されています。黒真珠とは、黒色の真珠の総称です。

アコヤ真珠を黒く染色したものと「黒蝶真珠」が含まれます。黒蝶真珠はタヒチなどの限られた海域で採れる希少性が高い真珠で、流通量が限られているため高額です。

同様にグレーも、染色されたものと天然のものがあります。黒真珠とともに、染色されたものは天然品より価格がリーズナブルです。

黒真珠も白真珠と同じく、慶弔どちらにも使用可能です。ただ「黒は喪の色」という印象から、黒真珠は葬儀にのみ使用するというイメージを持つ人も多くいます。

同品質で比較すると、黒真珠より白真珠のほうが価格は手ごろです。初めてフォーマル用の真珠のネックレスを買う場合、白真珠が無難といえるでしょう。白真珠は、清楚なイメージ、フォーマル度の高さ、調和のしやすさで人気があります。

ふたつ目の真珠として購入する人には、黒やグレーの真珠もおすすめです。

イミテーションパールを葬儀で使ってもよい?

イミテーションパールは真珠の模造品で、本物の真珠とは違う素材、たとえばプラスティックやガラスなどで作られています。

低価格で購入しやすいことに加え、最近のイミテーションパールはクオリティが高く、使用する場面も多くなりました。

イミテーションパールを、冠婚葬祭に使う人もいます。葬儀の場で使用するかどうかは、個人の判断です。

ただし、一部の人には本物ではない真珠をフォーマルな場面で使用することが不適切、マナー違反と映ることもあり、賛否が分かれます。

喪服にイミテーションパールをつけることについては、地域性や文化背景により可否が異なります。土地の習慣や家風に従うのが無難です。

本物の真珠とイミテーションパールは似ていますが、ある程度見る目がある人には見分けられます。もし、イミテーションを使うことに抵抗を感じるのなら、喪服にはアクセサリーをつけないという選択もあります。

参考 楽天市場 イミテーションパールの通販

まとめ

葬儀の装いで大切なことは、故人への敬意を示し、ご遺族に配慮することです。同時に、他の会葬者に不快感や違和感を与えないことが重要になります。そこで、この記事では葬儀の時のアクセサリーの解説を行いました。

葬儀の最大の特徴が「予定が立たない」ことです。訃報は突然やって来るため、いつ葬儀に参列するかは予測がつきません。そのため、いざというときに慌てない準備が必要です。