故人を偲ぶ最後のお別れには、盛り籠が贈られる場合があります。盛り籠は、故人への弔意を表すために、適したお供え物の1つです。
しかし、故人の宗教や好みによっては、どのような品物を盛り籠に入れるかが異なるため、あらかじめどのようなものにするかを把握しておく必要があります。そこで本記事では、仏式や神式の葬儀でのお供え物の違いや、盛り籠の贈り方・お返しのマナー・注意点などを詳しく解説しています。
故人への最後のお別れにふさわしい盛り籠を選ぶために、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
盛り籠とは
盛り籠とは、葬儀において故人に対して贈られるお供え物の1つです。多くの場合は、祭壇の近くに置かれ、故人の冥福を祈るために用いられます。葬儀後は、故人の遺骨をまつる祭壇の横などに飾られる場合が多くあります。
盛り籠に入れる品物は、宗教や故人の好みによって異なり、以下に例を挙げます。
- 果物
- 乾物
- 缶詰 など
果物
盛り籠に入れる品物の1つとして、果物が挙げられます。
果物は、故人の好みを考慮し選んで問題ありません。代表的なものとしては、リンゴ・オレンジ・スイカ・メロンなど丸い果物がよいとされています。
ただし、果物を盛り籠に入れる際には、果物は日持ちがあまりよくないため、注意が必要です。とくに、夏場などの高温多湿の時期には、葬儀当日に用意するか、日持ちの良い果物を選ぶようにするといいでしょう。
乾物
盛り籠には、果物のほかにも乾物がよく入れられます。とくに、仏式の葬儀においては、殺生を連想しない野菜や海苔類を乾燥させた乾物がよく選ばれます。
乾物は、殺生を連想せず、長期保存ができるため、仏式の葬儀にも贈ることが可能です。海苔・昆布・干ししいたけ・わかめ・大豆などが多く選ばれます。
盛り籠に入れる品物は、ある程度、故人の宗教や好みによっても変えられます。
缶詰
盛り籠には、缶詰もよく入れられます。具体的には、ジュース・みかん・パイナップルなどの缶詰が多く挙げられます。
缶詰は、果物や乾物と同様、故人に対する弔意として贈れます。とくに、仏式の葬儀では、殺生を連想せず、長期保存ができるものを選びましょう。
盛り籠の中身を選ぶ際には、故人の宗教や好みに合わせる必要がありますが、不安な場合やわからない場合にはスタッフにまかせて選んでもらうのもよい方法といえます。
盛り籠を出すべき人
盛り籠を出すべき人は、故人の親族が出す場合が多いですが、仕事や会社の関係者も用いられる場合があります。ここでは、どのような場合に盛り籠が選ばれるかも紹介します。
親族
葬儀において、盛り籠を出すべき人は、故人の近しい親族が多くを占めます。
親族以外にも、会社関係者や友人などが盛り籠を出すことがありますが、最も多いのは親族です。盛り籠は、故人に対する最後のお別れのための供養の1つであり、故人の宗教や好みに合わせて品物を選ぶ必要があります。
盛り籠はお葬式後に分けたり、1週間ほど自宅に飾ることが一般的です。
会社・友人など
故人と関係が深い会社や仕事の関係者や友人などが、盛り籠を贈る場合があります。
親族以外にも、故人との関係性や地域でのつながり、職場関係などによっては、盛り籠を贈ることが適している場合もあります。
その場合には、贈り方やマナーには気を配ることが必要です。
盛り籠の葬儀における役割
盛り籠は、葬儀において、故人との別れを惜しむ気持ちや冥福を祈るために贈られるお供え物の1つです。
盛り籠の発祥の地域は、大分県といわれています。大分では、葬儀だけでなく初盆などでも、お参りする方がお供え物として贈る風習が今も残っています。この習慣が全国的に伝わると、盛り籠という形で認知度が広まってきました。
盛り籠は、故人に対する最後のお別れの際に、弔意を表す方法として、大切な役割を担っています。
ただし、盛り籠の贈り方やマナーには注意が必要です。たとえば、故人の宗教や好みに合わせた品物を選ぶことや、タイミングや場所を考慮して贈ることが大切です。
盛り籠の中身は宗教によって異なる
盛り籠に入れる品物は、宗教によって異なります。ここでは、仏式と神式の葬儀での盛り籠の中身について説明します。
仏式(仏教)の葬儀でのお供え物
仏式(仏教)の葬儀でのお供え物、もしくは好ましくないお供え物として、以下のようなものがあります。
・果物
・乾物
・缶詰
・ロウソク
・線香 など
・肉
・魚
神式(神道)の葬儀(神葬祭)でのお供え物
仏式の盛り籠としてNGとされていた肉や魚に関しては、神道は問題ありません。その反面、お線香やロウソクは用いられないので、盛り籠には入れないことが一般的です。
神式(神道)の葬儀(神葬祭)でのお供え物、もしくは用いられないものとして、以下のようなものがよく選ばれます。
・茶葉
・お米
・和菓子
・肉
・魚
・酒 など
・お線香
・ロウソク
盛り籠の贈り方
盛り籠を注文する際は、インターネットで注文することも可能ですが、葬儀社を通じて行うことが一般的です。
葬儀社を通じて注文する場合、支払方法や費用の確認が必要です。インターネットで注文する場合は、支払い方法や配送方法なども確認しておきましょう。
盛り籠を贈る際には、故人の宗教や好みに合わせて品物を選ぶ必要があります。故人がキリスト教徒である場合には、盛り籠を贈るのは適切ではありません。
また、盛り籠を贈る際には、遺族同士で話し合い、「誰が贈るか」「品物は何にするか」などを決めることが望ましいです。盛り籠は、故人に対する最後のお別れの1つであり、贈り方やマナーには気を配る必要があります。
盛り籠の費用相場
盛り籠の相場としては、一般的に1万5千円から2万円程度が挙げられます。
金額が高い盛り籠ほど、贈る品物の種類や量が多くなる傾向にあります。一方、安価な盛り籠は、缶詰やお菓子などの簡単なものが多く、量も少なめです。元々、盛り籠は費用的に抑えられる場合が多くあります。
盛り籠の相場は地域や期間によっても異なるため、事前に確認することが望ましいです。また、盛り籠に入れる品物の種類や量のほかにも、包装方法なども費用が変わってきます。盛り籠を贈る場合には、事前に葬儀場のスタッフなどによく確認しておきましょう。
盛り籠を贈るときの注意点
盛り籠を贈る際には、以下の注意点があります。
- お供え物を辞退されることがある
- 事前確認が必要
- 香典は別に用意する
- キリスト教式の葬儀には盛り籠を贈ってはいけない
- 適切なタイミングで届くよう手配する
- かけ紙の表書きは適切なものを選ぶ
とくに、仕事関係や友人の場合は、トラブルになる場合が多くあります。順番に紹介するので、参考にしてください。
お供え物を辞退されることがある
盛り籠を贈る際には、喪主や遺族にお供え物を辞退される可能性があることを忘れないようにしてください。
盛り籠は、葬儀後に分けたり、1週間ほど飾ったりすることが一般的ですが、遺族によっては分ける人がいない場合や置いておく場所がないといった場合もあります。そのため、かえって迷惑になってしまう場合もあります。盛り籠を贈る場合には、事前に喪主や遺族の人に相談しておきましょう。
事前確認が必要
盛り籠を贈る際には、事前に喪主や遺族に確認することが必要です。
盛り籠が受け取れない場合や不要な場合があるため、相手の立場にたって確認することが大切です。また、贈り物には故人の宗教や好みに合わせて品物を選ぶ必要があります。
事前の確認を怠ると、無駄な出費になってしまったり、相手にとって不要な品物を贈ってしまったりする可能性があります。
香典は別に用意する
盛り籠を贈る際には、香典は別に用意する必要があります。
香典は、故人に対する最後のお別れの際に贈るお金であり、盛り籠とは違う意味を持っています。香典の相場は地域や時期によって異なりますが、一般的には3,000円から5,000円程度が相場とされています。
ただし、親族や上司などの場合は、より多くの金額を贈ることが望ましい場合もあります。故人との関係性を考えて香典の金額を決めるようにしてください。
キリスト教式の葬儀には盛り籠を贈ってはいけない
キリスト教式の葬儀には、盛り籠を贈ってはいけません。
その理由はキリスト教では、死者の方へ贈り物をする習慣がないためです。故人を偲ぶために、花や供物を持参することが許されますが、贈り物をすること自体がマナー違反となります。そのため、キリスト教式の葬儀には盛り籠を贈ってはいけません。
盛り籠は、葬儀における故人への供物として贈られるため、宗教によって異なる場合がありますので、注意が必要です。
適切なタイミングで届くよう手配する
盛り籠を贈る際には、適切なタイミングで届くよう手配することが大切です。
葬儀が行われる日時や場所、葬儀社の配達スケジュールなどを事前に確認し、届ける日程を決めましょう。また、葬儀に参列できない場合でも、故人や遺族に届くように手配もできます。
盛り籠を贈る場合には、タイミングを逃すと遺族にかえって迷惑になる場合があります。そのため、適切なタイミングで贈ることが大切です。
かけ紙の表書きは適切なものを選ぶ
盛籠を贈る際には、かけ紙の表書きにも注意が必要です。かけ紙は、贈り物の品物や贈る人の名前を書く紙をいいます。
また、贈る人の名前の上には、「御供物」「御供」と書かれる場合もあります。わからない場合には、スタッフに確認しておきましょう。
盛り籠をもらった後のお返しは?
盛籠をもらった場合は、手紙や電話などでお礼を述べることが一般的です。
故人の宗教や好みに合わせて選んでくれたことへの感謝の気持ちを伝えることが大切です。ただし、お返しをする必要はありません。盛籠は、故人に対する最後のお別れの1つであり、贈り物を返すことは基本的には行われません。
故人への敬意を示すため、手紙や電話などでお礼を述べることが良いでしょう。ただし、葬儀後に時間が経ってからお礼を述べると忘れている可能性がありますので、なるべく早めにお礼をするようにしてください。
盛り籠はいつまで供える?
盛り籠はいつまで供えるかについては、明確な決まりがあるわけではありません。
葬儀後に分けたり、3日から1週間ほど故人の遺骨をまつる祭壇の横に飾る場合が多くあります。葬儀後に分ける場合には、葬儀や通夜法要でお手伝いしてもらった遺族や親戚の人と分けるといいでしょう。
盛り籠に用いられているものが生ものの場合には、時期によっては傷みやすいため、早めに分けるようにしてください。
まとめ
今回は、盛り籠についての決まりやマナーについて紹介しました。内容をまとめると以下のようになります。
- 盛り籠は、葬儀において故人に対するお供え物
- 仏式の場合、果物や乾物が好まれ、神式ではお線香やロウソクが贈られない
- 盛り籠を贈る際には、故人の宗教や好みに合わせて品物を選ぶ必要がある
- 費用相場は1万5千円〜2万円程度が一般的
- 盛り籠はお葬式後に分けたり、1週間ほど飾ることが一般的
- 盛り籠は、贈り方やマナーには気を配る必要がある
盛り籠は、葬儀の際、故人に弔意を表すお供え物としてもおすすめの選択ですので、きちんと準備をしておきましょう。