一般葬は、日本で広く執り行われている葬儀形式ですが、他の規模の小さい葬儀形式に比べて多額の費用がかかることを悩まれている方も多いのではないでしょうか。葬儀費用の内訳を知ることで少しでも負担を減らすことができます。
また、一般葬には小規模の葬儀にはないメリットもあり、費用だけでなくどのような葬儀にしたいかも加味して葬儀形式を選択することで、納得のいく葬儀を執り行うことができます。
この記事では日本の大多数である仏教式の葬儀を主として、費用の相場やメリット・デメリットをご紹介してきます。
一般葬とは
一般葬とは、通夜と告別式を執り行う葬儀形式です。一般的に葬儀社の施設で行われることが多く、通夜と告別式で日を分けて、計2日間行われます。家族や親族以外の参列者に制限がなく、様々な人が参列できることが特徴です。
規模は30〜100人ほどが目安となっています。参列者が100人を超えると大規模な葬儀となり、大型葬と呼ばれることもあります。
家族葬との違い
一般葬の他に家族葬という形式もありますが、家族葬は文字通り家族や親族など一部の関係者のみで執り行う葬儀形式を指します。密葬とも呼ばれます。参列者が限定されているため、規模や費用は一般葬より控えめになります。
一般葬にかかる費用
一般葬は参列者数や葬儀の内容に制限がないため、利用する施設や物品によって費用は大きく異なります。
葬儀社のプランには一般葬で必要な費用がほとんど含まれていますが、火葬料やお布施代などは別料金となることが多いため、葬儀社に依頼する場合は注意が必要です。
一般葬にかかる総額の相場
一般葬にかかる費用の総額は、150万〜200万円ほどが相場と言えます。公営か民営か、さらには地域や宗教によって費用も異なり、多いと500万円にのぼることもあります。
費用の内訳
一般葬の葬儀費用の内訳は大きく4つに分類されます。それぞれの詳細と費用について説明していきます。
葬儀場などの施設の利用費用
施設を利用する際に発生する費用です。以下の3つに分けられます。
- ご遺体の安置費用
- 斎場使用料
- 火葬料
ご遺体の安置費用
ご遺体の安置に斎場や遺体保管所を利用する場合、相場は1日あたり1~3万円ほどになります。自宅で安置する場合は施設の利用料はかかりません。安置費は安置日数が長くなると、その分費用は増えていきます。
斎場使用料
葬儀会場で葬儀を行う場合にかかる費用のことで、民間と公営で料金が異なります。民間の施設では10~30万円、公営施設では2~5万円が相場となっています。
公営斎場は価格が低い分利用希望者も多いため、希望の日程に葬儀が行えないこともあります。地域住民以外でも利用できる公営斎場もありますが、相場より割高になる傾向にあります。
火葬料
火葬の際に必要になる費用を指します。民間の火葬場では3~20万円、公営の火葬場では0~6万円ほどかかります。火葬料は葬儀社のプランに含まれていない場合が多く、別途費用がかかるものと認識しておくと良いでしょう。
公営斎場と同様に、地域住民以外の方が利用する場合は割高になる可能性があります。
葬儀に使用する物品や人件費などの費用
施設利用以外の葬儀に使用する物品や人件費には、以下が挙げられます。
- 祭壇費用
- お棺費用
- ドライアイス代
- 車両費用
- 参列者の移動費用
- 遺影写真費用
- 骨壷代
- 葬儀スタッフの人件費
祭壇費用
葬儀に使用される祭壇の費用は、祭壇の種類によって異なります。ここではメジャーな白木祭壇と生花祭壇の相場をご紹介します。
白木祭壇の相場は20~30万円ほどです。白木祭壇とは塗装などしていない皮を削っただけの木で造られた祭壇のことで、主に仏教の葬儀で使用されます。使用する木材によって費用が異なってきます。
生花祭壇の相場は、20~80万円ほどと言われています。生花祭壇は生花で飾られた祭壇を指し、どの宗教でも使用できることが特徴です。使用する花の種類で費用は変化します。
お棺費用
ご遺体を納めるお棺の相場は、3~30万円ほどです。お棺は火葬を行う際に必須のものになります。木材の種類によって費用は異なり、高いものでは100万円を超えるものもあります。
ドライアイス代
ドライアイス代は1日あたり1万円ほど必要になります。ドライアイスはご遺体の腐食を防ぐために葬儀が終わるまで使用するため、最低でも一般葬では2日分の用意が必要です。故人が亡くなって通夜が始まるまでに期間が空く場合は、その期間もドライアイスを用意しなければなりません。
安置施設に専用の冷却台が備わっている場合はドライアイスは不要になります。この場合、施設利用料が高くなる可能性があります。
車両費用
車両費用には主に寝台車と霊柩車があります。移動距離が10km未満の場合、それぞれ1~2万円が相場となっています。
寝台車はご遺体を安置場所へ搬送するために必要になる車のことです。事前に葬儀社を決めている場合は葬儀社が手配してくれますが、葬儀社が決まっていない時はご遺体のある病院と提携している葬儀社に搬送だけ依頼することも可能です。
霊柩車はお棺を火葬場まで運ぶための車で、こちらは葬儀社が手配してくれることがほとんどです。葬儀プランには含まれていることが多いです。
参列者の移動費用
遠方からの参列者の送迎や斎場から火葬場へ移動する際に、マイクロバスやタクシーを利用することがあります。マイクロバスは葬儀社が運転手含め用意してくれていることが多く、相場は4~10万円ほどになります。タクシーは距離数に応じた料金が必要になります。
マイクロバスの席数は補助席含めて20席前後のため、それ以上の参列者が乗車される場合は中型もしくは大型バスの手配が必要になり、大型になるにつれて費用は増えていきます。
遺影写真費用
遺影写真は撮影場所、写真のサイズ、額縁によって費用が異なり、撮影方法には大きく4パターンあります。
- 葬儀社に撮影を依頼する
- 写真館に撮影を依頼する
- 既存の写真の加工を依頼する
- 自分で作成する(加工する)
生前に写真を準備しておく場合、葬儀社または写真館で撮影する方法があります。葬儀社で依頼する場合は3万円、写真館では1〜3万円ほど費用がかかります。葬儀社ではヘアメイクまで一緒になっているプランが多く、写真館ではお好みでヘアメイクも依頼できます。
すでに遺影用の写真が決まっていたり、突然のことで写真を用意できなかったりした場合は、既存の写真で加工を依頼する方法があります。相場は5,000〜1万円と、撮影料金がかからない分安く済みます。写真館だけでなく、葬儀社でも対応してくれます。
また、自分で写真撮影と加工を行う方法もあります。その場合、必要な費用は額縁や印刷代のみで、2,000円ほどになります。自分で行う分時間がかかるため、比較的余裕のある際の選択肢と言えます。
骨壷代
骨壷の費用の相場は1~3万円ほどです。陶器や大理石など様々な素材の骨壷があり、それによって価格も異なってきます。
人件費
葬儀を葬儀社にて執り行う場合は、スタッフの人件費も加わります。1日で一人あたり2〜3万円が相場になります。
参列者に関する費用
参列者に関係する費用には、礼状や香典返しなどがあります。参列者の数だけ必要になるため、参列者数が多いとかかる費用も増えていきます。
- 会葬礼状代
- 会葬礼品代
- 香典返し代
- 飲食や接待にかかる費用
会葬礼状代
通夜や告別式に参列した方へのお礼状で、一人あたり120円ほどかかります。通常、香典返しと一緒に参列者へ渡されます。
会葬礼品代
会葬礼品は香典の授受にかかわらず、参列へのお礼として弔問客へ渡す物です。内容によりますが、一人あたり500~1,500円のものが相場となっています。
会葬礼状代
香典返しとは香典をいただいた方に渡す返礼品のことで、一人あたり2,000~3,000円ほどが一般的です。場合によっては、いただいた香典の3分の1から半額程度とすることもあります。
飲食や接待にかかる費用
参列者の飲食費の相場は、一般参列者の場合一人あたり2,000~5,000円となります。親族の場合の相場は3,000円〜5,000円と、一般参列者より高い傾向にあります。通夜後の「通夜振る舞い」、火葬後の「精進落とし」のどちらも行う場合はそれぞれ費用がかかります。
僧侶など宗教者に支払う費用
宗教者に支払う費用は、主に以下の4種類があります。これらは葬儀社のプランに含まれていないことが多いので、葬儀社に支払う分とは別で必要になると覚えておくと良いでしょう。
- お布施代
- 戒名料(法名料)
- 御車代
- 御膳料
お布施代
お布施代に決まった金額はありませんが、20~30万円が相場と言われています。寺院や僧侶への感謝の気持ちで渡すもののため、渡す側の気持ちで金額を決めても問題ありません。
神式では「ご神饌料」、キリスト教では「献金」と呼ばれます。
戒名料(法名料)
仏教形式の葬儀の場合は戒名料(浄土真宗の場合は法名料)が必要になります。相場は20万円ほどで、戒名ランクによって異なりますが、高いと50万円以上となることもあります。
御車代
葬儀に来てもらった感謝の気持ちとして御車代を渡します。相場は1万円ほどです。
御車代
僧侶が通夜や火葬後の会食に参加しない場合や会食を行わなかった場合に、5,000円〜1万円ほどの御膳料を支払います。引き出物として御膳料の代わりにお弁当を渡すことも可能です。
一般葬のメリット・デメリット
どの葬儀形式でもメリットがあればデメリットもあります。一般葬のメリットとデメリットは以下になります。
メリット
喪主の負担が軽減できる
家族葬など限られた参列者のみで葬儀を行なった場合、葬儀後に自宅へ弔問客が訪れることがあります。一般葬にすることで一度に弔問客への対応ができます。一度に行う負担はあれど、長期的な負担は軽減できます。
また斎場で葬儀を行えば専門のスタッフが取り仕切ってくれるため、喪主の準備を最低限にすることができます。斎場に頼むことで費用はかかりますが、参列者からの香典収入もあるため、実質の持ち出し分は少なくなります。
親族以外の参列者も弔問できる
一般葬は参列者に制限を設けていないため、親族以外の友人や職場の関係者も弔問することができます。広く参列者が弔問することで、故人の生前の様子を伺う機会となります。
故人や遺族が希望する内容・費用で執り行うことができる
一般葬は参列者の制限がないことに加え、規模や内容も自由度が高いことが特徴です。故人や遺族の希望に合わせて、シンプルにも華やかにもできます。
デメリット
喪主に負担が集中する
斎場で葬儀を行う場合、施設や進行は葬儀社に任せることができますが、喪主はまず斎場の手配をしなければなりません。また、一度に多くの弔問客が参列することで、弔問客の対応に追われて故人を偲ぶ時間をゆっくり取れないこともあります。
家族葬などに比べて費用がかかる
規模が大きくなるにつれて費用も上がっていきます。参列者に制限を設けない分、弔問に訪れる人数が予測しづらくなります。実際の参列者数に比べて規模が大きくなってしまい、費用がかさむ可能性もあります。
まとめ
一般葬は日本で広く行われている葬儀形式のため、葬儀社では複数のプランが用意されています。今回紹介した費用のほとんども含まれています。場合によっては別料金となる費用もあるため、プランには何が含まれていないか、別途どれくらい費用が必要かチェックしておくと良いでしょう。複数の施設も把握しておけば、費用の比較もできますよ。