葬儀は大きな費用がかかることが多く、費用を抑えるために近親者のみで行う家族葬を選択する方も増えてきています。参列者が少ないため、費用を安く抑えられるのが家族葬のメリットです。葬儀は、急に行わなければならないことも多く、また費用も決して安くはありません。
本記事では家族葬について、費用の相場と内訳や、家族葬のメリットデメリット、費用をより安くおさえるためのポイントを紹介しています。家族葬を検討しているかたは、ぜひ参考にしてみてください。
家族葬の費用相場と内訳は?
家族葬の費用相場は40~150万円程度です。地域、葬儀の内容やオプション、葬儀会社や会場規模などの条件によってばらつきがあります。家族葬は参列者が少ない傾向にあるため、費用を抑えられることが特徴です。
斎場費など葬儀にかかる一式の費用と、通夜振る舞いなどの飲食代、そして寺院へのお布施、お車代などのお金が含まれています。家族葬の費用の内訳について、それぞれの費目をみていきましょう。
葬儀一式費用
「通夜・葬儀・告別式」に必要となる費用が、葬儀一式費用です。斎場の利用料や、セレモニースタッフの人件費、使用する備品代などが含まれます。参列人数や条件による価格変動はあまり大きくなく、見積もり同等の金額で請求されることが多いです。
ただし、火葬の費用は別途である場合が多いため、確認が必要です。また、見積書は必ず細部まで見るようにして、プランの内容や費用品目に認識の相違が無いことを確認しましょう。
飲食接待費用
飲食接待費用としては、大きく3つに分かれます。「通夜料理」、「告別料理」、「会葬御礼」の3つが該当します。通夜料理、告別料理はそれぞれ参列者の人数によって大きく異なります。1人当たり5000円が相場で、20人の家族葬の場合は100,000円です。会葬御礼は1,000~3,000円程度のお菓子やカタログギフトが多いです。上記以外にも、香典の返礼品にかかる費用が別途必要となることに注意しましょう。
寺院へのお礼
寺院へのお礼としてお布施があります。宗派や地域によって相場は変わり、「お気持ちで」となることが多く、金額が明確に決まっていないことが多いです。なるべく事前に、同じ宗派の親戚や寺院に相談しておくほうがよいでしょう。
また、葬儀社の見積もりには含まれていないことが多いので注意が必要です。葬儀の内容によっては、御車料や御膳料も別途必要になります。
お布施とは別に、戒名にかかる費用があります。戒名費用はランクによって金額が大きく異なるため、事前に相場を確認しておくことが重要です。
家族葬の費用は誰が払うか
家族葬の費用は、一般的には喪主が支払うのが通例です。喪主は葬儀の取り決めや斎場とのやりとり含めて、葬儀代を一番把握している役割となるため、支払いも担うことが多いです。
喪主を誰が務めるかについては、法律上の定めは特にありません。一般的には配偶者、または子どもが務めることが多いですが、身内がいない方の場合は知人や友人が務めることもあります。
喪主自身による支払いが難しい場合は、経済的サポート役として施主を立てて、支払いは施主が負担するケースもあります。また、親の遺産から支払うケースもあるため、家族葬の場合は、資金面について事前に家族間で話し合いをしておくとよいでしょう。
香典を葬儀代に充てるケースも珍しくありません。香典は、半分は香典の返礼品として控えておく必要があることに注意しましょう。
家族葬と一般葬の違いは?
家族葬と一般葬の違いとして、費用面の違いがあります。一般葬と比較して家族葬は安く抑えられることが多いです。また、葬儀の規模も違い、家族葬は遺族と親戚のみで行いますが、一般葬は友人・知人、会社関係者など、故人とつながりがあった人を広く呼び、参列してもらいます。
具体的な違いについて、詳しく解説します。
近親者のみの家族葬
家族葬は近親者のみで行われる小規模な葬儀で、参列者は30人以内となるケースが多いです。家族、親戚が中心で、その他はごく親しい友人のみが参加します。簡略化した葬儀が行われることもあり、「一日葬」を選択するなどして、費用を抑えることができます。
家族葬の場合は会食を簡素化することもあり、一方で香典を辞退する方もいます。
参列者の多い一般葬
一般葬は、家族葬と比較して参列者が多いことが特徴です。故人とつながりのあった人へ案内を広く出し、参列者が50人以上となるケースがほとんどです。家族葬と違い、地域のしきたりや風習を重視する風潮にあり、葬儀自体も世間体を考慮して費用をかけて執り行うことが多いです。
費用相場の違い
家族葬の相場は、地域差や参列者の人数によって変動はしますが、一般葬と比較して安く抑えられます。一般葬の費用については、大きく変動するため相場は特にありません。参列者の人数や会食の内容、葬儀のオプションなどで価格が大幅に上がるケースもあるため注意が必要です。
家族葬の場合は、近親者のみのため費用を抑えるポイントが多いのが特徴です。葬儀形式を簡素化したり、オプションを抑えたり、会食の見直しなどを行うことで大きく費用を減らせます。
一方で一般葬は、世間体を気にしたり、地域の風習に沿ったりすることも多いため、費用は人数次第となることが多いです。
家族葬のメリットとデメリット
家族葬は、一般葬と比較して費用を安く抑えられることがメリットとしてあげられます。
ただし、一般葬と違い広く案内を出さないため、葬儀が行われたことを知らない方も出てきてしまい、トラブルに繋がることもあります。
家族葬のメリットデメリットを理解した上で葬儀形式を選択しましょう。
家族葬のメリット
参列者が少ないため、葬儀費用が安くおさえられることがメリットですが、近親者のみで行われることによるメリットは他にもあります。
葬儀の規模が大きい場合、葬儀を無事に終えることに労力を使ってしまい、故人との別れをゆっくりと惜しむことが難しいのが現実です。一方で家族葬の場合は、近親者のみであり、故人とつながりが深い人が集まるため、喪主含めて故人との最後の時間をゆっくりと過ごせます。
関係の浅い参列者がいないことで、気を遣う必要もなく精神的な疲労も少ないです。
家族葬のデメリット
家族葬の場合、一般葬とは異なり葬儀の案内は近親者のみに行うため、広く周知をしません。そのため、葬儀の後に不幸があったことを知る方や、参列したくてもできない方などがでてきてしまいます。
まずは、親族と家族葬で執り行うことについて事前に話し合いを行うことが重要です。誰が参列するのかについて、親族の理解を得るとよいでしょう。また、葬儀後に不幸を知った方への、対応方法も事前に準備しておきましょう。
家族葬の場合は、香典を辞退することも多いです。ただし香典は葬儀の費用に充てられるため、香典を辞退する場合は結果として支出が増える場合があることを理解しておく必要があります。
家族葬の費用を安くする方法
家族葬は、参列者の人数が少ないため、一般葬より費用を安く抑えられます。また、それでも費用が高い場合は、葬儀自体の見直しを行うことで更に安くできます。
家族葬の費用を安く抑えるポイントを5つ紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
見積もりの比較
複数の葬儀社から見積もりを取り比較をしましょう。同じ条件でも葬儀社によって費用は異なります。また、サービスの内容や、オプションの有無、料金プランなども異なるため、1社だけではなく複数の見積もりを取り比較するようにしましょう。
複数比較することで、適切な料金を判断できるほか、葬儀社との相性なども合わせて確認できます。病院から紹介された葬儀社は通常より高いケースも多いので、参考程度にとどめて自分自身で見積もりを依頼することが重要です。
見積もりを依頼する前に、葬儀内容をある程度細かく決めておくことが、見積もりの精度をよくするポイントです。
生前予約の活用
生前予約を活用することで、葬儀費用を抑えられます。予約といっても、日時を予約するわけではなく、葬儀を執り行う葬儀社を決めておくことです。事前に、葬儀内容や大まかな参列者の人数などを相談できます。
葬儀が急に必要となった場合、どうしても慌てて葬儀社とやりとりをする必要が出てきます。慌てて決めてしまうと、想定外の費用などが上乗せされてしまう可能性もあります。
生前予約の場合は、余裕をもって葬儀内容を決められるため、事前に費用の目安を把握できます。また、火葬まで時間がかかってしまった場合の安置料やドライアイス代など、どの程度変動する要因があるのかも把握できるため、安心して葬儀に臨めることがメリットです。
葬儀形式の見直し
葬儀形式を見直すことで費用を安く抑えられます。例えば、オプションを見直したり、一日葬へ変更したり、会食を見直したりと方法はさまざまあります。4つの見直し方法について解説します。
オプションの見直し
オプションは、最初の見積もりではある程度高額なものが付与されていることがあります。祭壇や棺の装飾、工程など細かな点についてよく確認しましょう。不要なオプションを削除することで、葬儀全体の費用を抑えられます。
プラン内で収める
可能な限り基本プランのサービスに収めることで、価格を抑えられます。中にはグレードアッププランを提案してくる葬儀社もいますが、祭壇やお棺、骨壺のグレードを上げるべきかどうかはよく吟味しましょう。
葬儀社に言われるがままグレードアップやオプション追加を行うと、最終的には費用が高くなるため注意しましょう。
一日葬とする
通夜を行わずに、告別式と火葬を一日で行うのが一日葬です。通夜を行わない分の費用を抑えられるほか、参列者の宿泊の手配なども必要なくなるためさまざまな面で費用が安くなる傾向にあります。ただし、参列者がスケジュールを合わせづらいなど、デメリットもあるので注意しましょう。
会食の見直し
一般層とは違い、家族葬は会食を必ず実施する必要はありません。近所のスーパーやコンビニエンスストアで買ってきたものを、控室で食べる選択肢を取る方も増えています。
会食費だけでも一人当たり5,000円程度にはなるため、人数分で考えると大きな費用節約につながります。
葬祭費の還付金
国民健康保険、または後期高齢者医療保険に故人が加入していた場合、申請を行うことで葬祭費用を還付金として受け取れます。故人の住民票がある自治体から受け取れますが、自治体ごとに金額や対象費用が異なるため、事前の確認が必須です。
葬儀が終わった日から2年間申請可能ですので、必要書類をそろえて早めに申請しましょう。その際に、支払いの証拠として領収書が必要となるため、無くさずに保管しておかなければなりません。
宗教・宗派にこだわらない
宗教・宗派によってお布施の額が異なります。費用を抑えるには、宗教や宗派にこだわらない「自由葬」を選択するのも一つの手です。ただし、年配の方や、寺院自体が宗派へのこだわりを持っている場合もあります。事前に親戚含めて確認しておくことが重要です。
家族葬の注意点
家族葬は参列者に制限がある小規模の葬儀となるため、親族の中では良く思わない方がいる可能性もあります。親族には必ず相談し、家族葬とすることを事前に理解してもらう必要があります。
近親者のみの参列ではありますが、服装マナーは礼儀作法を踏まえて守りましょう。また、訃報連絡は一般葬と同様に、友人・知人、会社関係者へ通知する必要があります。その際に、「家族葬で執り行う」旨の通知も合わせて行うとよいでしょう。
まとめ
今回の記事では、家族葬について費用の相場と、費用を安く抑える方法について紹介しました。家族葬は一般葬と比較して、参列者が少ないため費用を安く抑えられるのが特徴です。
必ず複数の葬儀社から見積もりをとり、適正価格の調査も含めて比較を行いましょう。比較することで適正価格を見極めることができるほか、葬儀社ごとのプラン自体の比較も行えます。
基本プラン内で納めることや、不要なオプションを削除することでより費用を抑えられます。また、生前予約の仕組みの活用や、葬祭費の還付金の活用などをすることで、結果として支出をおさえることにつながります。
家族葬は、故人との別れをゆっくり偲ぶことができるなど、メリットがたくさんある葬儀の方法です。葬儀費用は突発的に大きなお金が必要なることも珍しくありません。生前予約をするためにも、家族・親戚内であらかじめ相談をしておくことをおすすめします。