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メモリアルコーナーとは?展示内容や作り方なども解説

葬儀のメモリアルコーナーは、参列者が故人を偲ぶスペースであり、生前の個性を表現できる貴重な場所です。近年ではメモリアルコーナーに力を入れる葬儀社も増えてきています。

一方で、メモリアルコーナーをどのように作れば良いのか、費用はどれくらいかかるのか不安になる方は多いのではないでしょうか。

今回の記事では、メモリアルコーナーの一般的な作り方と、費用相場を解説しています。また、メモリアルコーナーに関する注意点も紹介しているため参考にしてみてください。

メモリアルコーナーとは?

葬儀のメモリアルコーナーは、故人を偲ぶために設置される特別なスペースです。通常、入り口や壁際に配置され、故人の写真や愛用品などが展示されます。

メモリアルコーナーは何のためにあるのか、近年の展示内容の傾向と飾る内容を解説します。

メモリアルコーナーの意義

参列者が故人を思い出し、故人の生前の思いや感情を表現できることがメモリアルコーナーの目的です。

メモリアルコーナーは、故人の人生や存在を称え、参列者全員で思い出を共有するための場として、葬儀の一環として重要な役割を果たすでしょう。参列者にとっては、故人とのつながりを感じ、心の中で彼らを追悼する機会となります。

近年のメモリアルコーナー

近年では、タブレットなどのデジタルデバイスを活用して、メモリアルコーナーに動画を流すことも多いです。動画として流すことによって、故人の人生や思い出をより豊かに共有できます。

また、葬儀社もメモリアルコーナーに力を入れてきており、写真やムービーを写すためのモニターを用意してくれる場合もあるでしょう。

メモリアルコーナーには何を飾るか?

何をメモリアルコーナーに飾るかは、遺族の希望や個々の事情によって事由に決められます。写真や遺品、故人が愛したものや特別な思い出の品々など、故人の人生や個性を反映するアイテムが選ばれることが一般的です。

メモリアルコーナーは、参列者が故人を感じられる場所であるため、遺族の意図や思いを伝えることが重要な要素となります。

メモリアルコーナーの作り方

メモリアルコーナーは、遺族の意図によって決まるため、特に作り方に決まりはありません。この記事では、一般的な展示方法を紹介しますので、参考にしながら故人の個性を反映したメモリアルコーナーを作ってみてください。

次の内容の展示方法を紹介します。

  • 写真を展示する
  • 映像を流す
  • 故人の愛用品を展示する
  • 故人の作品を展示する
  • 参列者が参加できる寄せ書き

写真を展示する

メモリアルコーナーで写真を展示する方法はいくつかあります。葬儀社によっては、専用のモニターやスクリーンの設置が可能です。タブレットやデジタルフォトフレームを使用して、自動的に切り替わるスライドショーとして写真を表示する方法もあります。

また、写真を手作業で展示することも可能です。例えば、ボードやパネルに写真を選んで貼り付けます。ボードでの展示は比較的簡単な方法であり、遺族が特定の写真を重視したい場合に適しています。

さらに、参列者が手に取って見られるアルバム形式の展示方法もあります。参列者はアルバムをめくりながら、故人の写真をゆっくりと眺められるでしょう。この方法は、参列者が個々の写真に触れられることで、思い出を振り返りやすいです。

写真を展示する際には、選ぶ写真にも注意しましょう。人生の重要な瞬間や、遺族との思い出の写真、故人が楽しんでいる様子が写っている写真、参列者との思い出の写真など、バラエティに富んだ写真を選ぶことが望ましいです。

参列者全員が思い出を共有できるような写真を選ぶことで、故人への思いや絆をより強く感じられます。

また、写真に解説をつけることも有効です。解説を加えることで、写真に写っている場所や人物の説明、思い出やエピソードの共有ができます。解説が加わることで、参列者はより深い理解と共感を持ち、印象深いメモリアルコーナーとなるでしょう。

映像を流す

映像を流すためには動画編集の技術が必要です。しかし、急な葬儀の場合は時間的に制約があり、自身での編集が難しい場合もあるでしょう。自分自身での編集が難しい場合は、プロの映像編集者や知人に頼むのも良い選択肢です。適切な編集技術を持っていれば、迅速に対応してくれるでしょう。

また、高齢の方の場合、デジタル形式で写真を保持していないことが多いです。そのため、スキャンなどの作業が必要になるかもしれません。

写真をデジタル化するためには、スキャナーやスマートフォンのアプリが使えます。遺族や関係者が手伝いながら、大切な写真をデジタルファイルに変換することが作業が必要です。

近年、葬儀社ではメモリアルコーナーで映像を流すためのサービスも提供しています。葬儀社のスタッフが映像作成に携わり、故人の写真やビデオクリップをまとめ、感動的な映像を制作してくれるでしょう。

葬儀社や、外部の動画作成サービスを利用することで、遺族は映像制作の手間やストレスから解放され、大切な時間を過ごせます。ただし、外部の動画作成サービスに頼む際には注意が必要です。

葬儀のメモリアルコーナーに関わったことのない業者の場合、葬儀にふさわしくない映像や文章を入れてしまう可能性があります。適切な内容とトーンで故人を偲ぶ映像を作成するためには、実績のある動画作成サービスに依頼することが重要です。

葬儀社の提供するサービスの場合は、葬儀にあった映像を作成してくれますが、費用面で高くなることがあるため注意しましょう。

故人の愛用品を展示する

愛用品を展示する場合、展示スペースが限られているため、事前に展示物の大きさや量を葬儀社に伝えることが重要です。事前に相談することによって、展示スペースを適切に確保し、愛用品を効果的に展示できます。

例えば、故人がワインを好きだった場合は、ワインボトルを展示することもよいでしょう。特に愛飲していたワインボトルを選び、美しくディスプレイすることで、故人の趣味や好みを参列者に伝えられます。

もし故人が楽器を愛していた場合、楽器を展示することも考えられます。彼らが演奏していた楽器をメモリアルコーナーに置くことで、音楽への情熱や才能を称えられます。

故人がスポーツに熱中していた場合は、道具の展示や、チームの集合写真を展示することもあります。故人が使っていたスポーツ用具や、特別な試合やチーム活動の写真を展示することで、スポーツへの情熱や絆を感じられるでしょう。

葬儀の規模や許容範囲によっては、故人の愛用のバイクなど大型の展示も可能です。ただし、大きい愛用品の場合は葬儀社と事前に相談する必要があります。葬儀社は展示物の適切な配置やセキュリティについてアドバイスし、展示の実現に向けてサポートしてくれるでしょう。

故人の作品を展示する

故人が創作活動をしていた場合、メモリアルコーナーとして故人の作品を展示するのは適切な方法です。作品は故人の才能や情熱を反映しており、参列者に故人の芸術的な一面や、生前の意思を感じられます。

例えば、故人が絵を描くのが趣味だった場合、数点の作品を選び額縁に入れて飾るのもよいでしょう。美しくフレームされた絵画は、メモリアルコーナーにおいて目を引く存在となります。選ぶ作品は故人の個性やスタイルを反映していることが望ましいです。

手芸や陶芸などが故人の趣味であった場合も同様に、作品を数点選んでディスプレイできます。手作りの織物や刺繍、陶器の作品などは、故人の手による温かみや技術を感じさせます。参列者はこれらの作品を見ることで、故人の創造力や趣味に触れられるでしょう。

さらに、故人が創作していた様子の写真なども展示すると参列者に喜ばれます。創作活動の過程や制作中の写真は、故人の情熱や努力を伝える貴重な要素です。創作活動中の写真を作品と一緒に展示することで、故人の創作の背景や物語をより深く理解できます。

参列者が参加できる寄せ書き

メモリアルコーナーでは、故人に向けた最期のメッセージを書ける台紙を用意する方法もあります。参列者は自由に感謝の気持ちや思い出、励ましの言葉などを綴ることが可能です。

寄せ書き台紙は、参列者が故人に対して直接言葉を贈る機会を提供してくれて、参列者は故人への最後の思いを形にできるため人気のメモリアルコーナーとなっています。

参列者同士が寄せ書きを交換し合うことで、それぞれの思いを他の参列者も読めます。そのため、生前は知らなかった故人への深い思いや関係性を知れるでしょう。これにより、参列者同士の絆が深まり、故人をより深く偲べます。

さらに、できあがった寄せ書きは副葬品として故人の棺に入れられるのが一般的です。参列者の思いが詰まったメッセージが、故人と共に永遠に伴うことで、参列者にとっても特別な意味を感じられます。

また、参列者参加型のメモリアルコーナーでは、参列者から故人に関連する道具や写真を借りて展示することも可能です。故人の道具や写真は彼らの人生や趣味を象徴しており、展示することで参列者はより具体的に故人の世界を感じられ、参列者同士が交流し故人の思い出を共有する場となるでしょう。

メモリアルコーナーの費用相場

費用相場

一般的に、葬儀社は有料でメモリアルコーナーのサービスを提供しています。葬儀社によって料金が異なりますが、相場は2万円から5万円程度となることが多いです。展示スペースの提供や写真や映像のディスプレイなどが含まれているかどうかなど、見積書をよく確認しなければいけません。

一方、一部の葬儀社ではメモリアルコーナーの場所を無料で提供している場合もあります。ただし、必要な装飾やディスプレイに関しては別途費用が発生することがあるため注意が必要です。

自分たちで必要な物を揃えてメモリアルコーナーを作り上げることも可能で、その場合は費用を抑えられます。自分たちの手で写真や愛用品を用意し、展示方法やディスプレイを工夫することで、個人の予算に合わせたメモリアルコーナーを作れるでしょう。

ただし、短納期での動画作成を外部の業者に依頼する場合は、追加料金が発生する可能性があるため注意しなければいけません。急な要望や専門的な編集作業が必要な場合は、費用が高額になることもあるでしょう。

メモリアルコーナー展示の注意点

メモリアルコーナーで展示を行うにあたって注意点がいくつかあります。次の観点で注意点を解説しますので参考にしてみてください。

  • 音楽の著作権
  • 棺に入れることを考慮する
  • 故人の友人に借りた場合は慎重に扱う
  • 式場に展示できる物には制限がある
  • 大事な遺品や複製できない写真は特に注意が必要

音楽の著作権

メモリアルコーナーで音楽を流す場合、著作権には注意が必要です。一部の葬儀社では、著作権に対応した音源を用意しており、参列者がその中から選曲できます。

葬儀社が用意した音源を選ぶことによって、著作権侵害のリスクを回避しながら、故人にふさわしい音楽を流すことが可能です。ただし、故人が好きだった音楽を選ぶことは難しいかもしれません。

ただし、一部の業者はJASRAC(日本音楽著作権協会)との利用許諾契約を結んでいる場合もあります。そのため、特定の音楽作品を選曲するだけでなく、利用許諾を受けた映像作品なども展示できる場合があるでしょう。業者によっては、著作権に関する要望に応えられるサービスを提供していることもあります。

また、音楽だけでなく、映像作品でも著作権に気をつけなければいけません。特に、テレビ番組や映画などの著作権保護されたコンテンツを使用する場合は、許可を得る必要があります。無許可での使用は著作権法に違反する可能性がありますので、注意が必要です。

棺に入れて良い展示品と悪い展示品

メモリアルコーナーの展示品は、特別な品々を最後まで共にするという意味合いから最後に棺に入れることがありますが、いくつかの注意点があるため気をつけましょう。

棺に入れて良いものとしては、燃えても問題のないものが挙げられます。例えば、故人の服、写真、手紙、本などです。火葬時に安全に処理されるものであれば問題はないでしょう。

一方で、棺に入れるのに適さないものもあります。例えば、燃えにくい金属製の物やメガネなどは、棺の中で処理が難しくなる場合があります。また、大きすぎる物や重い物も控えるべきです。棺内のスペースに制限がありますので、適切なサイズの展示品を選ばなければいけません。

さらに、倫理的な観点には特に注意が必要です。例えば、生きている人の写真やプライバシーに関わるものは、遺族や参列者の感情を害する可能性がありますので、棺に入れてはいけません。

故人の友人に借りてもよい

メモリアルコーナーで故人の展示品を用意する際、自身や遺族が直接持っていない場合は、故人と親しい友人や同僚の方に借りることは問題ありません。

故人の友人や同級生から、故人に関連する道具や写真を借りる方法があります。故人の友人であれば趣味の時間を一緒に過ごしている可能性もあり、故人の趣味や興味、特技などに関連する展示物を借りられる可能性が高いです。

また、故人の同僚から仕事道具を借りる方法もあるでしょう。仕事に関連する道具や文書などは、故人の職業や専門性を表現できるため展示物としては使いやすいです。

ただし、借りた展示品を扱う際には、慎重に取り扱わなければいけません。借りた展示物を破損させたり紛失させたりしないように細心の注意を払いましょう。大切な思い出の品物であることを念頭に置き、責任を持って取り扱うことが重要です。

式場に展示できるかどうか確認

メモリアルコーナーに展示する物を葬儀場に持ち込む前に、葬儀場に展示できるかどうかを事前に確認する必要があります。

葬儀場によってさまざまな規則が存在するため、展示物に関する規制や制限がある可能性があるでしょう。故人の愛用品や写真、作品などを持ち込む前に、葬儀場のスタッフに相談し、展示する物に関する規則やガイドラインを確認しなければいけません。

一部の葬儀場では、葬儀に関連しない物の持ち込みを全て制限している場合もあるため注意が必要です。例えば、葬儀場のスペースやセキュリティ上の理由によって、危険物や燃えやすい物、大型の家具などは制約があるかもしれません。

大事な遺品や複製できない写真の場合

遺品や複製できない写真をメモリアルコーナーで展示する際には、特に注意しなければいけません。

展示物は複数の人の目に触れるため、破損や紛失のリスクは少なからず存在します。大切な遺品や貴重な写真を展示する場合は、慎重に扱い、保護する必要があるでしょう。破損を防ぐ方法としては、展示用のケースや額縁を使用して物品を保護し、安全な状態で展示する方法もあります。

また、展示スペースでは照明が長時間当たる場合があることを考慮しなければいけません。特に写真などの光に敏感な物品は、光の影響を受けることで劣化や色褪せが生じる可能性があります。展示物が長期間照明にさらされることを考慮し、展示に適した品質の物品を選びましょう。

最後に、展示物は自己責任で展示することになります。葬儀場や葬儀社は一定の注意を払って展示をサポートしてくれますが、最終的な展示の責任は遺族にあります。展示物の管理や安全確保には充分な配慮をし、展示が終わったら確実に回収することも大切です。

まとめ

今回の記事では、メモリアルコーナーの作り方、費用相場、注意点を解説しました。メモリアルコーナーでは次の方法での作成方法があります。

  • 写真の展示
  • 映像を流す
  • 故人の愛用品
  • 故人の作品
  • 参加者の寄せ書き

いずれの方法も、基本的には参列者で故人を偲ぶことを目的としているのを忘れずに、葬儀にふさわしい展示内容とする必要があります。費用の相場は葬儀会社によって異なりますが、2万円~5万円程度なことが多いです。

メモリアルコーナー作成にあたっての注意点も5つ紹介していますので、これからメモリアルコーナーの展示が必要になった場合に参考としてみてください。