親戚のお通夜法要に参列した際、慣れていないと「ご冥福をお祈りしています」といった言葉を添えたいと思っても、どう伝えればいいのか分からず不安になります。
また、葬儀やお通夜は失礼に当たる行為をしてしまわないよう、注意が必要です。
例えば、お酒をお酌するなどは、葬儀の場では思わぬマナー違反になってしまう場合があるかもしれません。そもそもお通夜や葬儀は、なぜ出席すべきなのか分からず、雰囲気に流されやすいです。
葬儀は人生の節目であり、故人がいなくなる悲しみを分かち合う場でもあります。そこで本記事は、葬儀の参列時のマナーについて紹介します。
- 葬儀の参列時の気を付けるべきマナー
- 通夜振舞いで気を付けたいマナー
- 参列に行けない場合の対処法
- お通夜法要や葬儀の際のNGマナー集
本記事を読めば、お通夜法要や葬儀に参列する際のマナーを把握でき、不安が解消され、会場で自信を持って過ごせます。今、参列するにも関わらず参列のマナーに不安がある場合には、読んで参考にしてください。
葬儀の参列時の気を付けるべきマナー
葬儀の参列時の気を付けるべきマナーは、以下のようなものがあります。
- 持ち物や服装
- お悔やみの言葉
- 焼香の回数 など
順番に紹介します。
まずは持ち物や服装からチェックしよう
お通夜法要・葬儀に参列する際には、まず持ち物や服装をチェックすべきです。ここでは、参列のときの持ち物や服装について紹介します。
持ち物
葬儀の参列時は、故人や遺族に敬意を表し、落ち着いた雰囲気作りが大切です。まずは、以下のような適切な持ち物を用意することが必要になります。
- 数珠
- ハンカチ
- 袱紗(ふくさ)
- 香典袋
- カバン など
数珠は、故人への敬意や供養のために持つもので、葬儀はもちろん年回忌法要などへの参列の際には持つようにします。また、ハンカチは思わず号泣するときもあるかもしれませんので、用意しておくと安心です。袱紗(ふくさ)は、香典を入れるために持っておくようにしましょう。香典の金額については、地域や関係によって異なるため、事前に親戚に確認しておくといいでしょう。
最後に、カバンは持ち物を収納するためのものであり、黒で落ち着いたデザインのものが好ましいです。これらの持ち物を用意し、きちんと持つことが、故人や遺族に対しての敬意表現の一つだといえます。
服装(男性の場合)
男性の葬儀参列時の服装についてですが、ダークスーツが基本的に求められます。
黒や濃紺、ダークグレーなどが一般的なカラーとされ、明るめの柄やストライプなどは控えた方が良いとされます。また、ネクタイの色もシンプルで落ち着いた色が求められます。黒、濃紺、グレーなどが一般的な色で、白は避けた方が良いです。結び方については、プレーンタイやウィンザータイが一般的です。
シャツについては、基本的に無地の白色のシャツを着てください。綾目やドット柄のものは、好ましくないので避けるようにしましょう。また、ボタンは2つまたは3つが一般的で、襟の形は広がり過ぎないようにスマートなものが望ましいとされます。
ヒゲについては、常に清潔に保つことが大切です。長く伸ばし過ぎたり、乱れたヒゲは不適切とされ、葬儀ではきちんとシェービングを行うことが望ましいとされています。
服装(女性の場合)
女性の場合、服装に関するポイントはたくさんありますが、代表的なものをいくつか紹介します。
まず、化粧や装飾品が挙げられます。女性は化粧で顔を華やかにしますが、葬儀やお通夜法要に身に付けるアクセサリーやジュエリーは、過剰にならないよう注意が必要です。
また、バッグや小物も大切なポイントです。バッグはファッションアイテムとしてだけでなく、持ち物を入れるための実用的な役割も持っています。葬儀に相応しい適切なサイズやデザインを選びましょう。
さらに、ストッキングも女性にとって重要なアイテムです。参列の際には、あまり肌の露出をすることが好ましくないため、ストッキングを履くことが多いです。色に関して、葬儀の場合は黒の無地ストッキング、お通夜法要では黒に加え肌色のものもマナー違反にならないです。
最後に、寒い時期の服装も大切なポイントです。冬場は防寒が必須で、黒いコートを用いるのが理想的です。デザインも派手過ぎずフォーマルな印象を与えるものを選んでください。
受付時のお悔やみの言葉はあらかじめ考えておこう
葬儀の参列時、受付でのお悔やみの言葉は、あらかじめ考えておくと良いです。また、親族の場合は式場に開式1時間から2時間前に入り、遅刻はNGです。そして、「重ね重ね・たびたび」など、不適切な言葉を使わないように気を付けましょう。
祭壇に向かって右側が親族席、左側が一般席で、途中で退席する場合は式前に焼香をさせてもらうか後ろの方に座っておくのがマナーです。
焼香の回数は宗派によって異なる
焼香は仏教の一つの形式であり、宗派によってその回数や意味が異なります。以下に主要な宗派についての焼香の回数を表にまとめました。
宗派 | 焼香の回数 |
天台宗 | 1回 |
真言宗 | 3回 |
浄土宗 | 1回 |
臨済宗 | 1回 |
曹洞宗 | 1回 |
浄土真宗 | 1回または3回 |
日蓮宗 | 1回または3回 |
焼香の意味は、亡くなった人に感謝の気持ちを表すためですが、その宗派の教えの違いにより、回数が変わってきます。また、地域や寺院によっても変わる場合があるので、不安な人は周りの人に確認しておきましょう。
はじめからマナーがきちんとできる人はいない
マナーは普段の行動から身に付けていくものであり、誰でもミスをすることがあります。
しかし、マナーを少しでも理解しておくことで、立ち振る舞いの質も変わってきます。葬儀参列は、お世話になった人への恩返しのつもりで参加するのが一般的です。何もせずに帰るよりも、参列しお悔やみの気持ちを伝えられます。
少しずつマナーを学び、葬儀参列での立ち居振る舞いを大切にしましょう。
通夜振舞いで気を付けたいマナー
通夜振舞いの際にも、いくつかのマナーがあります。
遠い親戚の場合、故人を偲ぶことは必要ですが、長居をし過ぎないようにする配慮が必要です。また、通夜前には喪服と香典の準備をしておきましょう。また、大声で話す・葬儀に関係のない話題を話す行為は避けましょう。
故人の死因などについては聞かず、遺族や近しい人を慰めることが主な目的です。変える際にも、喪主や遺族の人に挨拶し、故人のために手を合わせるようにしてください。程よい配慮と敬意を持った的確な対応を心がけることが大切です。
参列に行けない場合の対処法
場合によっては参列に行けない場合もあります。その対処法としては、ケースバイケースでそのときに適切な対応を行う必要があります。ここでは、参列に行けない場合の弔意の表し方・葬儀後に弔問に伺う時のマナーについて説明します。
参列に行けない場合の弔意の表し方
亡くなった方やそのご家族に対し、参列できなかった場合でも、弔意を表す機会は残されています。
例えば、弔電や、供花や盛籠を贈ることで弔意を表せられます。また、郵送による香典の贈り方や、代理の方に香典を持って行ってもらう方法もあります。これらの弔意を表す方法は、参列が難しい方や、場所や時間の都合で参列ができなかった方にとっても、身近で実践しやすいものが多いです。
葬儀後の弔問にもマナーがあるので、以下にまとめます。
葬儀後に弔問に伺う時のマナー
お通夜法要や葬儀に参列に行けない場合で、葬儀後に弔問に伺う際にも以下のようなマナーがあります。
- 弔問に伺うタイミング
- 葬儀後に弔問する際に持って行くもの
- お供え物ののしについて
- ご遺族への気遣いを忘れないことが大切
順番に紹介します。
弔問に伺うタイミング
弔問は、参列に行けなかった場合に故人への最後のお別れであり、その遺族と接する大切な機会です。葬儀後3日から四十九日忌法要までの間に行うことが一般的で、遺族の都合に合わせて早めに行く気持ちも必要です。
故人や遺族が気持ちよく過ごせるように、行動や発言には気をつけましょう。
葬儀後に弔問する際に持って行くもの
弔問の際には、故人に対する感謝の気持ちを示すために香典を渡し、線香を供えることがマナーです。また、服装もできれば喪服、数珠を持参するといいでしょう。
枕花は、事前に遺族に相談し依頼するようにしてください。
お供え物ののしについて
弔問でのお供え物は、お菓子や果物を持っていくことが多くあります。お供え物は、のし袋に包んで渡すのが一般的です。のし袋は、表側の上側に「御供」や「志」、下側に差し入れた人の名前・苗字を書いて渡します。
ただし、のし袋は白地に黒縁の「白無地」を使います。水引の「赤白」や「白赤」は、お祝いごとに使いますので、間違わないように気を付けましょう。また、宗教・宗派によって、のし袋の書き方や色に違いがあるため、心配な人は事前に確認しておくといいです。
ご遺族への気遣いを忘れないことが大切
ご遺族への気遣いは、葬儀や弔問時に大切な要素です。
まずは、正確な日時や場所を確認してからの訪問、黒い服装での出席、遺族に話しかける際に故人について傷つけることのないような会話を心がける必要があります。
また、開口一番にお悔やみを述べ、時にはただ黙って支えることも必要です。その際には、遺族が言葉を探している時に、無理に話をしなくても問題ありません。
お通夜法要や葬儀の際のNGマナー集
葬儀やお通夜の際には、参列者に対するNGマナーがあります。例えば、以下のようなものがあります。
- 参列に遅刻してしまう
- 香典に折り目がない新札を包む
- ご遺族と長話をしてしまう
- ご遺族に故人の死因を聞いてしまう
- 通夜振舞いを遠慮する
- キリスト式の葬儀で、お悔やみを述べてしまう
順番に解説します。
参列に遅刻してしまう
参列に遅刻してしまう場合も大きなNGマナーの1つです。遅刻は、故人や遺族に対しての不敬行為であり、会場に入る際に慌ただしく場を乱すことにもなります。
参列する時間の少なくとも30分前には到着し、静かに落ち着いた態度で参列するよう心がけましょう。
香典に折り目がない新札を包む
お通夜法要や葬儀でお供えする香典には、折り目がない新札はNGとされています。NGの理由は、新札をあらかじめ準備していると、故人が亡くなることを予測したかのように捉えられるためです。
古札を使用する、もしくは新札であっても真ん中に折り目をつけて包むようにします。
ご遺族と長話をしてしまう
葬儀やお通夜の場では、ご遺族と長話はNGだとされています。理由は、故人の冥福を祈る大切な場だからです。
参列者はご遺族に対する配慮が必要です。特に、お通夜や葬儀では、ご遺族は悲しみや疲れから精神的に疲弊している場合があります。そのため、長話をしてご遺族を迷惑にしてしまうことはNGです。
ご遺族との会話は簡潔に済ませ、故人の冥福を祈ることに専念しましょう。
ご遺族に故人の死因を聞いてしまう
ご遺族に故人の死因を聞いてしまうこともNG行為の1つです。故人の死因は、ご遺族にとって辛い思い出やトラウマとなる場合があります。そのため、葬儀やお通夜でのマナーにおいては、故人の死因や病歴については口にしないようにしましょう。
また、万一他の参列者から聞かれても、適当な返答をしたり、回避するようにしましょう。故人が亡くなられたことは深い哀しみを感じると同時に、故人が残してくれた思い出や遺品などを大切に想い出す場でもあるため、配慮が必要です。
通夜振舞いを遠慮する
葬儀やお通夜では、故人の冥福を祈る・供養のために通夜振る舞いを行う場合がありますが、まったく箸をつけないことはマナー的によくないといわれています。たとえ「すでに食事をした」「気を遣わせたくない」などの場合でも、少しでも食べることが故人の供養にもなります。
そのため、少しでもいいので通夜振舞いで食事をするようにしてください。
キリスト式の葬儀で、お悔やみを述べてしまう
キリスト式の葬儀の場合、仏式と同じように参列するとマナー違反になる可能性が高いです。それは、キリスト教の考え方は、亡くなったことが終わりではなく天国へ召されることが喜ばしいからです。たとえば、遺族への挨拶の際、「哀悼の意を表します」「ご冥福をお祈りします」などは使われません。
その代わりに、「天に召された故人の平安をお祈りいたします」といった故人の平穏を祈るような言葉をあらかじめ考えておくといいでしょう。
まとめ
葬儀やお通夜は、普段覚えなくてもよいマナーがあるため、参列の際にとても煩わしく感じるかもしれません。しかし、それでも大切な節目であることは間違いありません。そして、その場に参加する人たちは、故人とその家族にとって何かしらの思い出があるということを念頭に置くべきです。
葬儀やお通夜では、マナーを守る心がけが大切ですが、それだけでは十分ではありません。故人やその遺族に失礼にならないように、常に思いやりの心を持って過ごすようにしましょう。例えば、故人の遺影や遺品を無神経に扱ったり、家族の話を遮ってしまったりすることは避けるべきです。
しかし、お通夜法要や葬儀に参加することが初めてであっても、マナーを意識するようになるのは慣れのものです。マナーに関するルールブックがあるわけではありませんが、身につけられれば、自分自身をきちんと表現する良い機会になるので本記事を参考に少しずつ覚えていきましょう。