四十九日の法要は、故人の冥福を祈るために行われる重要な儀式です。
四十九日とは、七日七日の法要の1つであり、故人の魂がこの世を離れ、次の世へと旅立つまでの期間を表します。
この記事では、四十九日の法要の意味や流れ、準備すること、そして疑問点について詳しく解説していきます。
四十九日とは
四十九日とは、故人が亡くなってから浄土に向かう期間です。
この期間は、故人の魂が冥界での試練を経て次の世へと旅立つとされています。四十九日には、故人への供養や冥福を祈るための追善供養を行うための四十九日忌法要を行い、家族や親族、友人たちが集まって行います。
ここでは、四十九日の数え方や3か月にまたがる場合などについて紹介します。
四十九日忌法要は七日七日の法要の1つ
四十九日忌法要は七日七日の法要の1つで、7日ごとの法要は以下のように呼びます。
- 初七日
- 二七日
- 三七日
- 四七日
- 五七日(三十五日)
- 六七日
- 七七日(四十九日)
地方あるいは菩提寺によって、七日七日ごとに法要を行ったり、遺族で手を合わせたりする風習があります。
四十九日の数え方
四十九日の数え方は、関東と関西で数え方が異なる場合があります。
関東では、亡くなった日(命日)を1日目として数え、49日目となります。たとえば、1月1日が命日の場合、四十九日は2月18日です。一方、関西地方では、命日の前日を1日目と数える場合がありますので、注意が必要です。その場合、2月17日が四十九日となります。
法要の日程を決める際は、四十九日当日に行うことが理想ですが、仕事や参列者の都合で当日にできないこともあります。その場合は、四十九日よりもなるべく前の日に法要を行うようにしましょう。一般的には、四十九日に達する前の週末の土日に行われることが多いようです。
3か月にまたがる場合
「命日から数えて49日目が3ヶ月にまたがると良くない」という考え方があります。
もし49日目が3ヶ月にかかってしまう場合、日程を早めて35日目に法事を行うことがありますが、かかってしまっても全く問題ありません。
3ヶ月にかかってしまうとよくない理由は、「四十九」という表現を「始終苦(しじゅうく)」、「三月」を「身付き」と読み、この2つを合わせると「始終苦しみが身につく」という意味になります。つまり、49日目が3ヶ月にまたがると、ずっと苦しみが続くということを意味しているのです。
ただし、地域によっては3ヶ月にまたがることを好まない地方もあることを覚えておきましょう。
四十九日忌法要の流れ
四十九日忌法要の準備や当日の流れについて詳しく見ていきましょう。
四十九日忌法要までに準備すること
四十九日忌法要までには、以下の準備をする必要があります。
・四十九日忌法要の案内状の郵送
・お供えする花の準備
・四十九日餠の準備
四十九日忌法要の案内状の郵送
四十九日忌法要の案内状については、いくら親しい親戚だとしても贈ることがマナーです。案内状は、縦書きで、句読点をつけないことが一般的になっています。
具体的な文例としては、以下のようになります。
お供えする花の準備
四十九日忌法要にお供えする花は、基本的に白い花が使われる場合が多くあります。
白い花がよく使われる理由としては、白は清潔で清らかなイメージがあるからです。また、故人への最後の贈り物とされるため、清潔で清らかな花を選ぶことが大切です。
代表的な白い花には、菊・百合・カーネーションなどがあります。特に菊は、忌明けにもよく用いられる場合が多く、年中購入できるため、四十九日忌の法要にも適しています。
ただし、故人が好きだった花や季節に合わせた花を選ぶのも良い選択肢といえます。たとえば、春には桜やチューリップ、夏には向日葵やアジサイ、秋にはコスモス、冬には梅やサザンカなどがあります。
四十九日餠の準備
四十九日忌法要にはよく四十九日餠が作られお供えされます。
おもに、米を原料として作られます。一升のもち米を炊いて、小さく分けて丸めるのが一般的な作り方です。その際には、丸めた餅を数えることが大切で、四十九個になるようにします。この四十九個の餅を故人に供え、きちんと浄土に行けるようにお供えします。
四十九日餠は、地域によって作り方や飾り付けが異なります。地元の風習や、故人の好みや人柄に合わせて作ることが多いためです。また、四十九日餠には、家族や親族が一緒に作り上げるという、大切な意味があるため、できるだけ多くの人に頼んでみましょう。
四十九日忌法要の当日
四十九日忌法要の当日は、以下のような注意点があります。
- 服装
- 焼香
- 食事
順番に紹介します。
服装
四十九日忌法要の当日、服装には気を付ける必要があります。
法事の規模によって異なりますが、基本的に身内の方は三回忌まで、他の参列者は一周忌まで、喪服を着用するのが適切です。喪服とは、黒い衣服や小物を用いた、故人を偲ぶための服装とされています。
また、カバンやアクセサリーなどもなるべく地味で清潔感のあるものを選ぶように心掛けましょう。寺院や式場に相応しい服装で参列することを心掛けるために、カジュアルすぎる服装は避けてください。
焼香
四十九日忌法要では、焼香にも気を付ける必要があります。
通常、回し焼香が行われますが、立礼焼香や座礼焼香などの形式もあります。焼香の作法は法要の形式や座席の配置、式場の様式によっても異なります。
焼香をする場合は、香炉の前で抹香を額におしいただき薫じてください。回し焼香の場合には、焼香後に合掌・一礼して、隣の人に香炉を回すようにします。
焼香に関して、より詳しいマナーは関連記事で解説しているので、気になる方は参考にしてください。
食事
四十九日忌法要の当日には、食事にも気を付ける必要があります。
通常、四十九日目には普段通りの食事に戻り、肉や魚を口にします。近年では、これを省略し、葬儀の日に行う食事の風習が精進落としです。精進落としでは、故人の冥福を祈りながら、軽い和食の食事をとります。
四十九日忌法要後の食事の有無は、事前に喪主や遺族が決めます。用意する場合には、案内状を出すときに記載しておきましょう。
精進落としは、関連記事で詳しく紹介しています。
四十九日忌法要後に行うこと
四十九日忌法要が終了すると、以下のような注意点があります。
- 埋葬
- 香典返しを贈る
- 形見分け
- 年回忌・新盆・新彼岸
埋葬
四十九日忌法要後、故人を埋葬する場合が多くありますが、注意点が2つあります。
1つ目は、埋葬の日程についてです。四十九日忌法要が終わった忌明けに納骨や埋葬を行う場合が一般的ですが、必ずしもそうでなくてもかまいません。逆にいえば、埋葬を行う期限が明確に決まっているわけではありません。遺族や親族が納得できる時期や時間をかけて埋葬する時期を決めましょう。
2つ目は、埋葬に関する法律に従って手続きをすることです。日本では「墓地法」という法律があり、埋葬についてのルールが定められています。すでに墓地やお墓がある場合には問題ないですが、新たにお墓を用意する場合には埋葬法を一度確認しておきましょう。
遺族は、慌てず焦らずに自分たちのペースで手続きを進め、故人に安心してもらえるように心がけてください。
香典返しを贈る
四十九日忌法要が終わると、香典返しをすることが一般的です。香典返しは、香典をいただいた方に礼状とともに、返礼品などを用意することが多くあります。しかし、香典返しを贈る際には以下の点に注意する必要があります。
まず本来、香典返しを贈る時期は四十九日を過ぎてからです。これは、四十九日前後が故人を弔う大切な時期であるため、その間には個人的なお礼をすることは控えるべきとされています。
しかしながら、最近では告別式に参列した方々には、香典返しとして会葬御礼を渡すことが一般的となっています。会葬御礼は故人の家族や直接関係のある人に対して、お礼のために贈ります。しかし、意味合いから考えると、会葬御礼は通夜・葬儀に参列してくれたお礼であり、香典返しは香典をいただいたお礼です。
また、マナーや相場・選び方などは、関連記事で詳しく紹介しているので、参考にしてください。
形見分け
四十九日後には、形見分けという風習がある場合があります。
形見分けとは、故人が愛用していた品物や衣類などを近親者やごく親しい人に分ける行為です。しかし、形見分けにも気を付ける必要があります。
まず、故人が自分で手放したいと思っていないものは、形見分けの対象としては適切ではありません。
また、形見分けが原因で家族や友人がトラブルにつながる場合もあります。そのため、形見分けを行う際には、故人の意思を尊重し、法律やマナーを守りながら、事前に話し合いをして円満に分けることを心掛けてください。
年回忌・新盆・新彼岸
四十九日忌法要後にも、年回忌や新盆・新彼岸などの供養があります。年回忌は、一年後に一周忌があり、2年目に3回忌があります。これらは、故人が亡くなった日にちに行なうか、それより前の土日など遺族・親族の集まりやすい日に行われます。
新盆は、お盆に行われる法要で、故人を偲び、供養するために行われます。また、新彼岸は、秋分の日もしくは春分の日の近い日にちに行われます。
これらの場合も、できるだけ親族を呼んで、故人を偲ぶことが望ましいです。葬儀の際に、日程などの相談をあらかじめしておくといいです。
四十九日忌法要後は、これらの供養が続くため、気持ちが沈んでしまうことがあります。しかし、故人を偲ぶためには、こうした供養が必要なことを忘れないようにしましょう。
仏教以外の宗教の供養
四十九日忌法要後には、故人が仏教以外の宗教に属していた場合、その宗教に合わせた供養をする必要があります。
たとえば、神道の場合には、霊前祭という儀式を行い、宮司が家に来て、鎮めの詞を奏上してくれます。また、キリスト教の場合には、追悼儀礼を行う習慣があるものの、日本の仏教や神道のように、法要や法事ではありません。
故人が信仰していた宗教に合わせた供養をすることが、その人の意思を尊重する形となります。また、宗教によって、供養方法が変わってくるため、あらかじめ把握することが大切です。
四十九日忌法要に関する疑問点
ここまで、四十九日や四十九日忌法要について解説しましたが、よく疑問に思うことをまとめました。
四十九日までに結婚式に呼ばれた場合はどうする?
一般的に、四十九日忌法要を迎えるまでは、結婚式に参加することは好ましくないとされています。これは、故人のために四十九日間の供養が行われることによって、その魂が成仏するという仏教の教えに基づくものです。
しかし、四十九日までに結婚式に招待された場合、参列するかどうかは個人の判断に委ねられます。
四十九日までにしてはいけないことは?
四十九日忌法要が終わるまでは、以下のようなことを控えることが望ましいです。
- 祝い事やお祭りの参加
結婚式・お宮参り・七五三・お正月のお祝い、神社への参拝など - 気晴らしや浪費
遠出の旅行やレジャー・新築の購入や建て替え工事・大きな金額の買い物など - 飲み会への出席
四十九日忌法要に用いるお布施の書き方を知りたい!
四十九日忌法要において、お布施は欠かせないものです。
お布施には包む袋が必要であり、袋には喪主の名前や苗字などを書き入れるのが一般的です。具体的には、袋の上側に「布施」「御布施」などと書き、その下に喪主の名前を書きます。
また、お布施の金額については、地域や菩提寺の考え方によって変わってくるため、わからない場合には葬儀会社のスタッフに相談しましょう。
まとめ
四十九日の法要は、故人への冥福を祈り、故人が浄土へと旅立つことを願う大切な法要です。
四十九日の期間の数え方や法要の流れ、準備することや疑問点について理解することで、参列者として適切な対応ができます。
大切な故人が浄土に行くまでの期間でもあるため、心を込めて準備や本番に臨みましょう。