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葬儀の参列に必要な持ち物とは

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訃報は突然やって来るものです。弔問や葬儀・告別式参列に必要な喪服や小物類はすぐに使えるようにひとまとめにし、定位置に収納しておくとあわてることがありません。

現在、通夜、葬儀・告別式の服装として一般的なのが準礼装で、通常「喪服」とよばれる装いです。デパートや洋服専門店のフォーマルコーナー、インターネット通販などで購入することができます。

会葬にはふさわしい服装とともに、必要とされる持ち物や小物があります。この記事では、通夜や葬儀・告別式に参列するときの持ち物を解説します。

通夜、葬儀・告別式参列の必需品とされるもの

香典

通夜、葬儀・告別式の参列者は香典を持参するのが一般的です。通夜の翌日に葬儀・告別式を執り行うのが従来の葬儀形式で、連続した二日間で行われます。

最近は日中の葬儀・告別式に参列できない人が、通夜に弔問に訪れるケースが多くなりました。その際には香典を受付に出し、記帳します。

通夜、葬式の両方に参列するときは、通夜でのみ香典を渡し、葬式では記帳だけします。

近年は香典、供花、供物を辞退する喪家も増えています。故人の遺志であったり遺族の意向であったり、理由はさまざまです。「ご厚志お断りいたします」は、具体的には香典、供花、供物のすべてを辞退するという意味です。

喪家からの文面や口頭での葬儀案内、新聞の死亡広告で告知されますので、香典を辞退していないかどうかを確認しておきましょう。

香典袋の表書きは宗旨宗派により違う

香典袋は、宗旨宗派に合わせた表書きの商品が市販されています。訃報を受けたら、故人との関係性により香典の金額を決め、故人の宗教に合わせた香典袋を購入します。

  • 仏式(浄土真宗を除く):御霊前、御香奠、御香料
  • 仏式(浄土真宗):御仏前、御香奠、御香料
  • 神式:御榊料、御玉串料
  • キリスト教式:お花料、御花料、御白花料

「御霊前」はもっとも広く使われる香典袋で、コンビニエンスストアやスーパー、ドラッグストア、100円ショップで購入できます。

神式やキリスト教式の葬儀は日本では少ないため、コンビニエンスストアなどでは、香典袋の取り扱いはないと思ったほうがよいでしょう。

神式やキリスト教式の香典袋は、大手文具店、オンラインショップ(楽天やAmazonなど)で購入できます。キリスト教式用は、大きな教会で購買があれば取り扱っているところもあります。

香典袋の格と香典の金額を合わせる

香典袋のランクには香典の金額と釣り合う、おおよその目安があります。高額な香典には豪華な香典袋、少額なら水引が印刷された香典袋が適しています。金額に不釣り合いな香典袋を選ばないようにしましょう。

  • 高額(5~10万円以上):檀紙(細かい凹凸のある高級和紙)に黒白または双銀の水引がついたもの
  • 一般的な額(1~3万円):奉書紙に黒白または双銀の水引がついたもの
  • 少額(数千円):表書きと水引が印刷された一重の封筒

間違いやすい香典袋選び

香典袋には宗旨宗派や地方により、決まりごとがあります。以下の点に気をつけて、参列する通夜、葬儀・告別式に適した香典袋を選びましょう。

  • 蓮(はす)の花の柄は仏式専用ですので神式、キリスト教式には使えません。
  • 黄色と白の水引は主に関西、中部地方で使われます。黒白か双銀の水引の香典袋を使う地域では、黄白の水引のものは避けましょう。
  • 白一色(双白)の水引は神式専用です。仏式、キリスト教式には使えません。

香典を忘れて来たり香典袋に現金を入れ忘れたりしたら

多くの人が「自分に限ってそのようなことはない」と考えるものです。しかし実際には、香典忘れは珍しいことではありません。葬儀会場に到着して気づくとたいへんあわてますが、落ち着いて以下の対処をしましょう。

■香典袋ごと忘れたとき

いざ内ポケットやバッグから香典を出そうとしたら持って来ていなかった、というときは、受付で事情を話して後日ご自宅に持参するか郵送すると伝え、記帳のみさせてもらいます。受付担当者から喪主へ報告がなされますので、安心してください。

もし葬儀開始まで時間があり、近くにコンビニエンスストアがあれば香典袋を購入しましょう。葬儀社の人から筆ペンなどを借りて氏名を書き、香典袋を新たに作り受付に渡します。

■香典袋は持参したが現金を入れ忘れたとき

空の香典袋を出してしまうと、自分では気が付かず会場の会計係や葬儀社の会場スタッフから伝えられることがあります。香典分の現金を持っていれば袋に入れて渡し、お詫びをしましょう。

葬儀会場では受付係の後部に会計係が控えていて、その場で香典袋を開封し金額を確認することもあれば、遺族が自宅に戻ってから香典袋を開けることもあります。

前者ならば会場で伝えてもらえますが、葬儀が終り帰宅してからお互いが気づくこともあります。香典の入れ忘れは、紙幣がテーブルの上に残っていたなどで気づく人がほとんどです。お詫びの手紙を同封して郵送するか、あらためてご自宅に弔問にうかがいましょう。

大阪府では香典辞退が主流

特に大阪市や堺市など都市部では、香典を辞退していることがほとんどです。受付に香典辞退の旨を示す立て札が置かれているときは、香典を持参しても出さないでおきましょう。

他の地域からの参列者には、違和感があるかもしれません。しかし葬儀は、執り行われる土地の慣習に従うのが原則です。

「せっかくですので受け取ってください」や「私の地元ではお渡しすることになっています」などと言い、無理に渡そうとしないようにしましょう。

葬儀は地域差が大きく、特に東日本と西日本ではしきたりの違いが数々みられます。基本は「儀式が執り行われる土地の慣習に合わせる」と覚えておくとよいでしょう。

袱紗(ふくさ)

袱紗(ふくさ)とは、結婚式や葬式など冠婚葬祭に持参するご祝儀袋や香典袋を包む布のことで、いくつかのタイプがあります。金封をそのままや、購入時のセロハン袋に入れて葬儀に持参するのはタブーです。

袱紗は祝儀袋、不祝儀袋(香典袋)の汚れやしわ、水引の折れなどを防ぐために必要とされています。お祝い事と不幸があったときとでは、違う袱紗を使います。

慶事には暖色系、弔事には黒、グレー、紺、緑の寒色系と決まっています。濃い紫は慶弔両用で使うことができ、ひとつ持っていると便利です。ただし両用できるのは「濃い紫」で、藤色、薄紫は慶事用です。間違わないようにしましょう。

袱紗の包み方は慶事と弔事では違う

袱紗の包み方は、購入時の包装袋などに印刷されていることもありますが、あらためて確認してみましょう。

以下のリンクに写真やイラストによる包み方が公開されています。一度覚えればかんたんですので、袱紗を購入したら練習してみましょう。

参照(画像検索) 袱紗の包み方

袱紗の購入先

袱紗はデパート、大型スーパー、洋服専門店などのフォーマルウェア売り場、文具店、オンラインショップなどで購入できます。

葬儀に間に合わないときは、白か黒のハンカチやスカーフで代用してもよいとされています。しかし、あらかじめ購入しておくことをお勧めします。

参照 慶弔用袱紗

供物を持参する場合

線香(仏式のみ)や菓子などのコンパクトでかさばらない供物は通夜、葬儀・告別式に持参する風習の地域もあります。購入時に弔事用に包装してもらい、地味な風呂敷に包んで持参し受付で渡します。

なお、キリスト教式の葬儀では生花以外のものは供えませんので、供物は必要ありません。

数珠(じゅず)

数珠とは、念珠ともよばれる仏具です。日本の葬儀の9割は仏式で執り行われていますので、葬儀参列用の小物として多くの人が数珠を持っています。

数珠は通夜、葬儀・告別式に限らず、法要など仏事全般で拝礼する際に使用する仏具で、仏式以外の儀式では必要がありません。仏教徒であっても神式、キリスト教式、無宗教の通夜、葬式に参列する際には数珠を持たないのがマナーです。もし持って行ってしまったら、ポケットやバッグにしまいましょう。

仏教以外を信仰している人は、仏式葬儀に数珠を持たなくてもマナー違反にはなりません。

数珠には宗派ごとの特徴がある「本式数珠(正式数珠)」と、宗派を問わない「略式数珠」とがあります。本式数珠は、宗派により形状や長さが違います。また数珠には、男性用と女性用の違いもあります。

仏式葬儀に参列するときに、自分の宗派の本式数珠を他の宗派で使っても問題はありません。

数珠は葬儀中は房が真下になるように左手に持ち、焼香で合掌をするときに使います。数珠を一時的に手から離すときは、バッグやポケットにしまいましょう。

数珠の貸し借りは、タブーとされています。親切心からであっても、葬儀会場で数珠を持たない人や忘れて来た人に、自分の数珠を貸すことはやめましょう。

数珠とパワーストーンは別物

形状が似ているためか、数珠の代わりにパワーストーンブレスレットを通夜、葬儀に持参する人が、比較的若い層に見られるようです。

数珠とパワーストーンとでは使用目的が違うため「数珠がないのでパワーストーン」と考えたのでしたら、手ぶらでの焼香のほうが葬儀のマナーに適してます。

数珠の購入先

「本式数珠」は、自分の宗派に合わせて購入するものです。購入先は仏具店やデパートの仏具売り場がお勧めです。専門スタッフが在籍していて、購入の相談にのってもらえます。価格は1万円~3万円が中心です。

「略式数珠」は大型ショッピングセンター、ホームセンター、洋服店のフォーマルウェアコーナー、オンラインショップでも購入できます。略式数珠の価格は5,000円~1万円が多いようです。

身内から形見分けされた数珠を持っている人もいるでしょう。新たに購入する必要はありません。大切に使いたいものです。

ロザリオとは

キリスト教カトリック教会で、数珠に相当するものがロザリオです。聖母マリアへの祈りを唱えるときに使う数珠状の用具で、カトリック信者は葬儀に持参します。他の宗教の信者や無宗教の人は、持たなくてもマナー違反ではありません。

名刺

社葬や仕事関係の人の通夜、葬儀では受付で記帳の際に名刺を出すことがあります。ただし社葬などの会場で、他の会葬者との名刺交換はマナー違反です。

名刺のほかに、会社の代表で社葬に参列する際に社章をつけることがあります。

葬儀に持参する小物類

バッグ

男性はバッグを持たず、香典袋は喪服の内ポケットに入れるのが一般的です。

女性は、金具や飾りのない黒の布製フォーマルバッグを持ちます。香典はバッグに入れて持参します。

ハンカチ、ポケットティッシュ

弔事で使うハンカチは、白か黒の無地が正式です。弔事用のハンカチが市販されていますので、あらかじめ購入しておくことをお勧めします。価格は1,000円前後が中心です。高価なハンカチは必要がありませんので、2~3枚用意しておくとよいでしょう。

せっかく喪服やバッグ、靴などを黒でそろえても、ハンカチが色柄物ではよいマナーとはいえません。ハンカチは小さいですが、意外と目立ちます。気をつけましょう。

弔事用ハンカチの購入先

デパートや大型ショッピングセンターなど、フォーマルウェア売り場のある店舗やオンラインショップで購入できます。

無地が基本ですが、女性用は控えめならば同色のレースや刺しゅうがあってもよいとされています。タオルハンカチやガーゼハンカチは、カジュアルなのでふさわしくありません。

ただし喪家から台所や接待の手伝いを頼まれている人は、何度も手を洗いますので、タオルハンカチも持参するほうがよいでしょう。

参照 弔事用ハンカチ

マスク

令和5年3月13日以降、マスクの着用は「個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本」となりました。

出典 厚生労働省 マスクの着用について

葬儀には、基礎疾患のある人、高齢の人や妊娠している人、子どもなどの参列もあるためマスク着用が望ましいとされています。コロナ禍以降、焼香の際にマスクを外さなくてもマナー違反ではなくなりました。

マスクは白の不織布が一般的で、黒やグレーでもかまいません。ただし、黒のマスクにはカジュアルな印象を持つ人もいます。白の使い捨てマスクが無難でしょう。予備のマスクも1~2枚持っておくと安心です。

葬儀会場での感染症防止対策は、地域やそのときの感染状況により変わるため、葬儀会場や葬儀社の指示に従ってください。

葬儀の参列時にあると便利なもの

トートバッグなど予備のバッグ

黒、グレーなどの無地のトートバッグやエコバッグを持参すると、何かと便利です。特に、他の人から香典を託されている人は、人数分の返礼品を渡されます。大き目の予備のバッグを持参するとよいでしょう。

冬季はストール、手袋、帽子などの防寒具は、まとめて予備バッグに入れるようにするとスマートです。

女性は予備のストッキング

女性の喪服には、薄手(30デニール以下)の黒のストッキングを着用するのがマナーです。黒のストッキングは伝線すると、ひじょうに目立ちます。予備のストッキングをバッグに入れておくと安心です。

季節、天候により必要な持ち物

雨天や降雪時には傘が必要で、黒やグレーや紺の無地を持参するようにします。無色のビニール傘でもよいですが、地味な色の無地の折り畳み傘がお勧めです。出棺の見送りに、カラフルな色柄物の傘をささないようにしましょう。

防寒具

冬季の葬儀では派手でないコートやマフラー、手袋などの防寒具が必要です。コートは葬儀会場のクロークがあれば預けます。コート類などを預ける場所がないときには黒やグレーなど地味な単色のトートバッグなどに入れるとよいでしょう。

出棺の見送りでは、コートを着ないのがマナーとされています。しかし厳寒の時期で荒天時は着用してもよいので、周囲に合わせてください。

遠方からの参列で荷物が多いときは

大きな荷物をどうするか

駅や空港から葬儀会場に向かうならスーツケース、ボストンバッグなどの大きな荷物は駅のコインロッカー、宿泊先のホテル、葬儀会場のクロークなどに預けましょう。

派手でカラフルな多数のステッカーが貼られたスーツケースなどは、会場に持ち込まない配慮が必要です。

遠方からの参列で現地で喪服に着替えができるか

葬儀会場には遺族、親族用の控室があります。到着時間の都合により会場で着替える以外の方法がないときは、事前に喪家の許可を得て控室を使わせてもらうようにしましょう。控室はあくまで遺族と親族のためにありますので、無断で使用しないようにしてください。

最寄り駅や、近くのデパートの化粧室で着替える人もいるようです。本来は会場に入る時点で喪服を着用しているのがマナーですので、工夫してみてください。

日頃から準備しておくと安心

喪服(ネクタイ、黒の靴下、黒のストッキング)、バッグやアクセサリー、ハンカチ、数珠、袱紗など葬儀の装いに必要な持ち物はひとまとめにして、定位置に収納しておくことをお勧めします。

女性は、通夜、葬儀・告別式で台所や接待の手伝いを頼まれることがあります。その際は白か黒のエプロンを持参します。弔事用のエプロンも市販されていますので、1枚購入しておくと、いざというときにあわてません。

香典袋は宗旨宗派や金額により種類が違うため、その都度購入するほうがよいでしょう。香典袋の氏名や金額記入用には、薄墨の筆ペンを購入し、葬儀に必要なものと一緒にしておきます。

香典袋の氏名や金額は、薄墨で書くのが一般的です。ただし薄墨を使用しない習慣の地域もあるため、わからないときは地元の人に聞いてみてください。

まとめ

通夜、葬儀・告別式に参列するときは喪服を着用のうえ、必要な持ち物を忘れないようにしましょう。

日本で執り行われる葬儀のほとんどが仏式ですが、神式、キリスト教式、無宗教式のこともあります。宗旨宗派のマナーに従い、香典や小物類を持参するようにします。

葬儀の持ち物はコンパクトにし、大きな荷物は最寄り駅のコインロッカーや式場にクロークがあれば預けるようにしましょう。

きちんとした喪服を着ていても、コートや防寒具、バッグやハンカチ、傘などの小物が色柄物だと葬儀の雰囲気を損ない、マナー違反とみなされてしまいます。ご遺族にも他の会葬者にも失礼になりますので、持ち物にも細心の注意を払うようにしましょう。