お布施は、葬儀やお通夜法要・年回忌に必要になってくるものです。
しかしながら、日頃なじみがないので相場や封筒の書き方など、分からないことが多くあります。
他にも、四十九日忌と一周忌法要の際、どのくらいの金額を包めばいいのか困ってしまう人もいることでしょう。
そこで、本記事ではお布施に関する内容を中心に紹介します。
お布施本来の意味合いから、入れる封筒の書き方をはじめ、渡し方や相場などを解説します。
本記事を読めば、お布施に関する悩みが解消され、法要当日はきちんと供養することに専念できるでしょう。
急な葬儀になってしまった方や年回忌法要が予定されていて不安方は、ぜひ読んで参考にしてください。
お布施とは
お布施とは、仏教において、慈悲や感謝の気持ちを表すために行われる寄付・浄財のことです。具体的には、お寺や修行僧に対して金銭や食事などの供養を行うことが一般的です。
また、お布施は自己犠牲や利他的な行為を通じて、自己の心身を鍛えるための修行の一つともされています。
お布施の封筒の書き方
お布施は、基本的に「のし袋」と呼ばれる封筒に入れて僧侶に渡すようにします。ここではその封筒の書き方を中心に紹介します。
封筒の書き方
お布施の封筒の書き方は、中袋があるかどうかで変わってきます。
ここでは、お布施の表書きや金額・施主名の書き方について紹介します。
宗教によって書き方が違う場合がある
お布施の封筒の書き方は、中袋がある場合・ない場合どちらも「御布施」「お布施」と書いておくと問題ありません。
お布施の他にも、「御膳料」「お車代」なども書いて用意しておきましょう。
仏式以外の神道やキリスト教などには、お布施がそもそもありませんが、葬儀の際など、宗教者に対するお礼を渡す場合もあり得ます。
たとえば、神道の場合でしたら「御礼」「御祭祀料」「御祈祷料」などで、キリスト教の場合には「献金」「御礼」などと記します。
お布施の金額には漢数字を用いる
お布施の中袋を用意する場合、表側に金額を、裏側には住所や氏名などを書いておきます。金額を書く多くの場合には、数字を「壱」「弐」「参」「四」「伍」「六」「七」「八」「九」「拾」「百」「阡」「萬」を用い、単位に「圓」を使います。
記入例を以下にまとめます。
【お布施の金額に漢数字を用いた記入例】
- 5,000円→金 伍阡圓 也
- 10,000円→金 壱萬圓 也
- 30,000円→金 参萬圓 也
- 35,000円→金 参萬伍阡圓 也
- 50,000円→金 伍萬圓 也
- 100,000円→金 壱拾萬圓 也
施主名
封筒表面の上側には、先ほどお伝えした通り、「お布施」と記入し、下側には施主の名字もしくはフルネームで書いておきます。注意点としては、上側に書いた「お布施」の文字よりも大きくならないようにしてください。
筆は、筆もしくは筆ペンを用い濃墨でしっかり書くようにしましょう。
裏面の書き方
中袋には、裏側に以下の内容を記載しておきます。
【中袋の裏側の書き方】
- 住所
- 名前
- 連絡先
- (金額を表に書いていない場合)金額
お布施の入れ方
お布施の封筒を書くと、次にお札を入れていきます。封筒に熨斗袋(のしふくろ)を用いることが多くあります。ここでは、封筒にお布施を入れるときのポイントを以下のように紹介します。
- 封筒の水引は必要なし
- お札の向き
- 中袋なしの場合
- 半紙で包む方法
順番に解説していきます。
封筒の水引は必要なし
水引とは、紙や布などを包装するときにつける帯状の飾り紐のことです。水引は、贈り物やお祝い事など、大切な場面で使われます。また、水引の結び方によっても意味が異なります。
しかし、お布施の場合、水引は必要ないです。なぜなら、お布施は僧侶へのお礼ではなく、自分自身の修行や仏さまへ包んだり、納めたりするために行うものであるからです。
お札の向き
お布施の封筒にお札を入れる向きには、向きが決まっているので注意する必要があります。一般的には、封筒の入り口にお札に描かれている肖像が来るようにしてください。お札は、肖像が描かれている方が表、金額が書かれている右側が上になります。
表の袋は購入したときと同じになるように、裏側の上から重ねるように包んでおきます。正しい方法でお布施を行い、感謝の気持ちを伝えるとスマートで、失礼になりません。
中袋なしの場合
中袋がない熨斗袋(のしふくろ)に入れる場合にも、中袋があるときと同じ向きでお札を入れてください。裏側に、住所や名前、金額を書いておくとより丁寧な印象を与えます。
半紙で包む方法
あまり機会がないかもしれませんが、お布施の中袋を、半紙を用いる方法があります。注意点としては、包み方には祝儀用と不祝儀用の包み方の2種類があるので、間違えないように注意しましょう。ここでは、中袋を使った半紙で包む方法を紹介します。
【半紙で包む方法】
- 白い半紙を用意する
- ツルツルした面を表面にくるように置く
- 右端の上側を三角になるように折る
- お札を中にはさめる
- 下から半紙を折る
- 反対側の上を折る
- 残りも同様に折っていく
お布施の渡し方
お布施の準備をし、実際にお布施を渡すときにも以下のような注意点があります。
- お盆に載せて渡す
- 袱紗の包み方
- お布施を渡すタイミング
順番に説明します。
お盆に載せて渡す
お布施を僧侶に渡す際には、葬儀や法事を行う場所によって渡し方が変わります。基本的には、お盆に載せて渡しましょう。
葬儀や法事を自宅以外の場合は、お盆がないため袱紗を下にし、僧侶がお布施の文字が読めるように渡してください。
お盆に載せて渡す場合も、基本的には同じように渡します。切手盆や祝儀盆といったお盆に載せて渡すのが望ましいですが、なければふだん使っている小さめのもので問題ありません。
袱紗の包み方
袱紗と一口にいっても挟むタイプと包むタイプがあり、包み方が少し変わってきます。ここでは、それぞれの包み方を紹介します。
挟むタイプの場合は向きに気を付ける
挟むタイプは、袱紗が封筒のような形状になっており、慶事と弔事で使う場合に向きを変えて使用します。
弔事で使用する場合には、左に開くようにして使います。右側にポケット、左側に蓋がくるようにし、お布施の封筒を入れましょう。
包むタイプはひし形に広げる
包むタイプの袱紗は、基本的に挟むタイプと同様、左が開くようにして入れます。
まず、爪がある方を左側にし、ひし形のようにして袱紗を広げます。お布施の封筒を中心よりもやや左側にくるように置きます。
爪がある左側の反対にある右側から折っていき、次に上下の端を折りましょう。最後に左側を折りたたみ、はみ出た部分を織り込んでください。
お布施を渡すタイミング
お布施を渡すタイミングは、場合によって変わりますが、法要の前後に渡すといいでしょう。とくに僧侶が読経・回向が終わって法話が終わったときに渡すとスマートに渡せます。
また、葬儀や通夜法要の際には僧侶の控え室に行って渡す場合が多くあります。ここでは、渡すタイミングやお布施を渡す時の言葉を紹介します。
法要の前後がよい
法要とは、年回忌の法事や葬儀・お通夜法要をいいます。
年回忌の場合は、お寺や自宅で行われる場合が多いため、法要の前後どちらに渡してもいいですが、法要前は僧侶も準備をしているため、法要後が適しています。
葬儀・お通夜法要の際は、まとめて渡す場合が多いため、葬儀を行う前に挨拶に行くタイミングで僧侶にお布施を渡してください。
お布施を渡す時の言葉
お布施を渡す時の言葉は、渡すタイミングによって異なります。
たとえば、法要前に渡す場合には「どうぞよろしくお願いいたします。」が適切で、法要後に渡す場合には、「本日は、ありがとうございました。」などがいいでしょう。
僧侶と話す機会は、なかなかありませんが、緊張せずにお布施を渡してください。
お布施の相場
お布施の相場は、風習やお寺の考えによっても変わってきますが、法要の内容によっても変わります。葬儀・お通夜は事前に相談もしやすいため、困る場合が少ない一方、年回忌の場合は困ってしまう人も多くいます。
ここでは、四十九日忌・一周忌・三回忌の法要の相場を紹介します。
四十九日忌
一般的に、四十九日忌の法要の相場は、3万円〜5万円です。葬儀・告別式で渡したお布施の金額の1割から2割程度だといわれています。
地域によっては、お布施のほかに、「お車料」「御膳料」を用意するところもあります。お寺で四十九日忌を行う際には、「お車料」ではなく「会場料」などが必要になる場合があります。
お布施・お車料・御膳料の他にも位牌の開眼を行ってもらう場合には、別途封筒を用意した方がいい場合もあります。気になった人は、四十九日忌を行ってもらう菩提寺に問い合わせてみましょう。
一周忌
一般的に、一周忌のお布施の相場は、四十九日忌同様、3万円〜5万円の場合が多くあります。これに「お車料」「御膳料」が必要になってきますが、お位牌を改めて開眼・魂入れをしなくてもよいため、四十九日忌よりも費用が安くなる傾向にあります。
三回忌
三回忌の相場も、3万円〜5万円になっていますが、四十九日忌・一周忌よりも安くする傾向にあります。寺院によっては、「お気持ちで」と言われ、地域などによっても金額が変わってくる場合が多くあります。
分からなければ、親戚や菩提寺に相談してください。
お布施で疑問に感じやすいこと
ここまで葬儀やお通夜法要・年回忌のお布施について、紹介してきました。他にも疑問に感じることを以下にピックアップしました。
- お布施が少ないと言われた場合
- 薄墨で書くべき?
- お布施って領収書はもらえるの?
- 御法礼とお布施の違いは何?
- お布施と志の違いは?
順番に解説します。
お布施が少ないと言われた場合
お布施は、お寺が金額を決めるものではありませんが、あまりにも少ない場合には僧侶から「少ない」と言われる場合があります。
お布施の「布施」とは、本来亡くなった人に対して遺族が行う修行法の1つです。そういう観点からみて、僧侶が故人や遺族のためを思っての言動だと受け止めましょう。お布施の金額について不安な場合は、あらかじめ相談しておくと、当日そのようなトラブルにならないので、気になった人は確認しておきましょう。
薄墨で書くべき?
お布施は薄墨で書くものではありません。
それは、薄墨は葬儀やお通夜法要の際の香典で書くときにつかうものだからです。お布施は、香典ではなく僧侶やお寺に対して渡すものなので濃い墨で書くようにしましょう。
お布施って領収書はもらえるの?
お布施の領収書は、請求すればもらえる場合がありますが、お寺によって変わってきます。本来は相続税申告の際にも使用するため、もらうべきものです。
もし、僧侶に依頼してもらえそうにない場合には、お布施を渡した日・場所・寺院名・寺院の連絡先などをメモしておきましょう。
御法礼とお布施の違いは何?
御法礼とお布施の考え方は、宗派によっても異なりますが、以下のような意味合いが強くあります。
- 御法礼
法とは、お経の意味であり、御法礼とは読経・回向をしてもらった御礼という意味合いが強くあります。 - お布施
お布施も同じような意味合いがありますが、ご本尊へのお供えという意味合いが強くあります。
葬儀やお通夜法要・年回忌法要などで、どちらを用いても問題ありませんが、その違いを把握しておくことが大切です。
お布施と志の違いは?
お布施と志の違いは、用途が異なります。その違いを以下にまとめます。
- お布施
寺院や僧侶に対して、渡すもの - 志
香典をいただいた参列者に対して、香典返し・法要の引き出物を渡すもの
それぞれ渡す対象が違うため、間違わないように気を付けましょう。
まとめ
本記事では、お布施のことを中心に紹介しましたが、まとめると以下のようになります。
- お布施とは、仏教において、慈悲や感謝の気持ちを表すために行われる寄付・浄財のこと
- お布施は、「のし袋」と呼ばれる封筒に入れて僧侶に渡す
- お布施の封筒の書き方は、「御布施」「お布施」と書く
- お布施の金額には漢数字を用いる
- お布施の入れ方や渡し方にも作法があるため、間違わないように気を付ける
- お布施の相場は、四十九日忌から一周忌・三回忌とあるが、月日がたつごとに金額を少なくする傾向にある
- お布施で疑問に感じやすいことを紹介した
以上、少しでもお布施に関する悩みを解消し、自信をもって故人の供養ができるようにしてください。