「法事の回忌の数え方や頻度は、一体どのように決まるの?」
両親の法事を行わないとならない立場にある場合、回忌の数え方や行わなければならない頻度を把握しておかないと円滑に法事を行えません。
そこで今回は、法事について徹底解説いたします。法事の行う意味や切り上げるタイミング、さらには準備やマナーについてもご紹介しますので、ご参考にしていただければ幸いです。
法事は何回忌まで行われるのが一般的?
一般的な法事の回数としては、三十三回忌まで行われることが多いです。
これは、亡くなった方の冥福を祈りつつ、家族や親族がともに追悼する機会となります。ただし、宗派やお寺によって異なる場合もありますので、その点についても考慮する必要があります。
ただし、仏教の宗派によって法事の回数が異なる場合があるので注意が必要です。
また、菩提寺によっても法事を行う頻度が異なります。
菩提寺とは、ご先祖様の冥福を祈るために設けられた寺院をいい、法事や供養を行う場所として利用されます。お寺によっては、一周忌や三回忌などの法事だけでなく、故人の命日やそれより前の土日などに法事が行われる場合が多いです。
具体的な法事の回数や内容については、菩提寺の伝統や習慣によるので、事前に相談しておくとよいでしょう。
法要と法事の違い
法事と混同しやすい言葉に、法要があります。ここでは、法要と法事の違いについて紹介します。
法要は儀式のみ
法要とは、亡くなった方の冥福を祈って供養をする仏教の儀式です。
法事の際の法要は、主に菩提寺である寺院で行われ、僧侶がお経やご回向を故人のために行ってくれます。参列者としては、親族や友人などが集まり、同席し、時には一緒に読経したり焼香を行います。
菩提寺が遠方にある場合には、葬儀会館などで行われる場合もあります。ちなみに、法要は寺院の年中行事に行う儀式も指します。
法要後の会食も含んでいる
法事とは、法要後に行われる会食も含めた一連の供養行事です。
法事は、法要が行われた後、法要を行った寺院もしくは飲食店に移動し、会食を行います。故人の思い出を語り合ったり、家族の絆を深めたりする機会となります。中には、法事プランがある定食を扱っている店舗もあり、遺族は法要に参加する人数や時間などを注意しておきましょう。
法事の回忌の数え方や行うべき頻度
日本にある仏教では、年回忌といって法事を決まった周期で行います。
法事の回忌の数え方や行うべき頻度を、まとめると以下の通りです。
呼び方(読み方) | 行う時期・内容 |
一周忌 (いっしゅうき) |
亡くなった1年後の祥月命日(故人の亡くなった同じ月と日にち)もしくはそれより前に行う |
三回忌 (さんかいき) |
亡くなって2年後の祥月命日もしくはそれより前に行う |
七回忌 (しちかいき) |
亡くなって7年後の祥月命日もしくはそれより前に行う |
十三回忌 (じゅうさんかいき) |
亡くなって13年目の祥月命日もしくはそれより前に行う |
十七回忌 (じゅうしちかいき) |
亡くなって17年目の祥月命日もしくはそれより前に行う |
二十三回忌 (にじゅうさんいき) |
亡くなって23年目の祥月命日もしくはそれより前に行う |
二十七回忌 (にじゅうしちかいき) |
亡くなって27年目の祥月命日もしくはそれより前に行う |
三十三回忌 (さんじゅうさんかいき) |
亡くなって33年目の祥月命日もしくはそれより前に行う 一般的に「弔いあげ」を行う |
地域や寺院によっては、二十三回忌と二十七回忌を二十五回忌として行う場合があります。また、七回忌以降は、少しずつ規模を小さくするのが一般的で、最後に行われる法事を「弔い上げ」と呼びます。
浄土真宗や曹洞宗などの宗派での法事の違い
浄土真宗や曹洞宗などの仏教宗派において、法事の形式にはそれぞれ特徴があります。ここでは、一例として、浄土真宗や曹洞宗の法事の特徴をお伝えします。
浄土真宗
浄土真宗では、故人の追善供養のために一周忌から三十三回忌までの法要が行われます。
特に三十三回忌は、弔い上げとしての法要が行われることが一般的です。この法事では、故人が成仏し、浄土に往生を祈り、故人の冥福と家族の心の平安を祈念します。
浄土真宗は、他の仏教の宗派とは異なり、年忌法要を必ず行わなければならないという考え方はありません。それは、故人が生前に心から信仰を持っていた阿弥陀仏の教えに基づくからです。
しかしながら、一般的には故人の追善供養のために、一周忌から三十三回忌までの法要が行われます。菩提寺によっても考え方が、さまざまあるため、一度確認しておきましょう。
曹洞宗
曹洞宗における法事では、一般的には三十三回忌をもって弔い上げとする場合が多いです。
自分だけでなく他人の命も大切にする仏心を忘れずに生きることを大切にしている曹洞宗では、故人のために法事を営みます。また、二十三回忌と二十七回忌を行うか、もしくは二十五回忌としてまとめて行う場合もあります。
法事の準備とマナー
法事を行う場合、主催者として施主の役目を務める必要があります。故人の追善のための読経・回向を行ってもらう寺院や、親族との日程調整や会場の設定などを行います。
以下の点に注意すると、法事をスムーズに行えます。
- 僧侶やお寺への依頼
- 案内状
- 法事の準備に必要なもの
- 法事のマナーとは
- 法事での服装の選び方
僧侶やお寺への依頼
法事の準備として、まずは僧侶やお寺への依頼を行いましょう。
法事を実施する日時や場所についても、お寺に相談することが重要です。特に土日は他の方の法事やお寺の行事も多くあるため、1カ月から2カ月くらい前を目安に早めに伝えた方が良いでしょう。
場所については、菩提寺で行われる場合が一般的です。しかし、自宅やお墓が遠方にある際には、自宅や葬儀会館で行う場合もあります。法事を行う場所に関してもお寺に尋ね、適切な場所を決めるようにしましょう。
法事の準備をする際には、事前にお寺から指示がある場合もあります。お寺側から指定された品物や準備物があれば、それに従ってください。その後、親族にもその日程で問題ないかを確認します。
案内状
法事の日には参列者への案内状を送ったり連絡をしたりする必要があります。
特に、ごく近しい親族であれば、電話やメールで案内を済ませる場合もあります。しかし、普段あまりお付き合いのない親族に対しては、案内状を送付する方が丁寧です。
参列者への案内状には、以下の内容を記載しておきます。
- 法事の日時や場所
- 参列者の持ち物
- 法要後の食事の有無
食事の有無については、法事が終了した後に振る舞われることが多いですが、それに関する情報も案内状に記載しておくと良いでしょう。例えば、事前に参加人数を把握するために返信をしてもらうようにしておくと、食事の用意の手配がしやすくなります。
法事の準備に必要なもの
法事の準備には、以下のものが多く必要です。
- 位牌
- 供物
- お布施の封筒
位牌
法事の準備には、さまざまなものがありますが、その中でも重要なのは位牌です。
位牌は、故人の霊をおまつりするために自宅の仏壇やお寺の位牌堂に安置されるもので、法事の際に欠かせません。また、場合によっては納骨していない状況で法事を行うこともあります。そのような場合には、ご遺骨も持参する必要があります。
供物
法事の際に必要なものとして供物があり、以下のようなものが一般的です。
- 果物:りんごやみかんなど、季節の果物を選ぶとよい
- お菓子:和菓子や洋菓子、おせんべいなど
- 花:季節の花や故人の好みに合わせて選ぶ
ただし、すべてのお寺で供物が必要とされるわけではありません。
菩提寺によっては、供物を持参する必要がないとされている場合もあるからです。そのため、法事を行うお寺に事前に確認することが望ましいです。
お布施の封筒
法事の準備に必要なものの1つとして、お布施の封筒があります。
法事をしてもらった菩提寺や僧侶に対してのお礼は、「お布施」として渡すことが一般的です。お布施は、本来の意味では自己の心身を鍛えるための修行の1つとされています。
お布施の封筒の書き方やお金の入れ方については、関連記事で詳しく紹介しています。
法事のマナーとは
法事当日は、施主として堂々と構えることが大切です。以下の点に気を付けてください。
- 焼香
- 数珠
- お布施の渡し方
焼香
焼香は、法事の基本的な所作の1つです。参列者や遺族・親族が行う焼香のやり方は基本的に同じですが、宗派によって少し異なる部分もあるため、事前に確認しておきましょう。
参列者が焼香する際は、遺族に向かって礼をし、遺族が焼香をする際は、弔問客に向かって礼をすることが一般的です。
また、焼香の回数や抹香の掲げ方も宗派によって異なる場合・「立礼焼香」「座礼焼香」「回し焼香」などといった種類があります。詳しくは、関連記事で紹介しているので、気になった方は参考にしてください。
数珠
数珠も、法事に参列する際には持参することが望ましいです。よく略式の数珠がありますが、本来は煩悩の数である108個の玉が付いているのが一般的です。この108個の玉は、仏教の教えに基づいています。
法事に参加する際には、二重にし左手にかけておきましょう。数珠の玉の数や形については、宗派によって異なる部分もありますので、ご自身の宗派に合った数珠を選ぶことをおすすめします。
お布施の渡し方
法事に参列する際、お布施を渡すタイミングはとても重要です。
お布施を渡すタイミングですが、法要の前後が最適です。法要前にお布施を渡す場合には、「どうぞよろしくお願いいたします。」と僧侶に伝えるといいでしょう。また、法要後にお布施を渡す場合には、「本日は、ありがとうございました。」などが適切です。
また、僧侶と話しをする機会は、なかなかありませんが、緊張せずに接するようにしましょう。
法事での服装の選び方
法事の際の服装は、敬意を表すために慎重に選ぶ必要があります。
年回忌が一周忌から三十三回忌と進むにつれて、服装も喪服から変わってきます。ここでは、男性・女性の法事での服装について紹介します。
特に、四十九日忌の法事では服装に気を付ける必要があります。年回忌の法事ではありませんが、関連記事で紹介しているので、気になった方は参考にしてください。
男性の場合
男性の場合、基本的には黒のスーツが一般的です。
平服と聞くと普段着を思い浮かべてしまいがちですが、普段着のラフな格好は適しません。三回忌までの一定期間は、死を悼み、故人をしのぶ気持ちを表すために喪服での参列が一般的です。喪服は黒のスーツというイメージですが、他の暗い色であれば構いません。
七回忌や十三回忌以降は、喪服である必要はありませんが、僧侶や住職を呼んでお経をあげてもらう場合が多く、失礼のない服装を心掛けることが望ましいです。また、季節や場所によっては、暑さや寒さに配慮した服装を選んでください。
女性の場合
法事において、女性の喪服は正喪服と準喪服、どちらでも着用できる冠婚葬祭にもふさわしいブラックフォーマルな服装がベストな選択です。黒色で光沢のない生地でできた、ワンピースやアンサンブルが最適です。
三回忌以降の法事の場合は、ブラックフォーマルでない地味な色のワンピースやセットアップを着用しても問題ありません。できるだけ控えめな色合いのものをおすすめします。
また、バッグやアクセサリーについても、できるだけ派手なデザインのものは避け、シンプルなものを選ぶようにしましょう。喪服とのバランスを取りつつ、落ち着いた印象を与えることが大切です。
法事に関する3つの疑問点
ここまで、法事に関する内容を紹介しましたが、よくある疑問点を以下にまとめました。
年回忌は亡くなった月の亡くなった日より前にするもの?
年回忌の法事の日程で1番良いのは、亡くなった日・もしくはお逮夜の前日に行うことです。
どちらかの日に行うと、亡くなった日を大切にし、故人をしのびます。もし日曜日に法事を行いたい場合は、命日より前の日曜日を選ぶようにしましょう。
命日を過ぎてしまうと、故人からすれば、「命日なのに、なぜ法事を行ってくれないのだろうか?」という思いがあるかもしれません。
年回忌は不要だと感じているが、しなければならないの?
法事は必ずしなければならないものではありません。
確かに葬式だけで良いと思っている人は少なからずいるかもしれませんが、それだけでは気が済まない人が年回忌を行っているのも事実です。
近年では核家族化が進み、親族の中でも冠婚葬祭でしか会う機会がなく、法要後の会食は遺族や親戚の懇親会ともいえます。故人を供養し、故人をしのびたいなどの声が親族からあれば、法事を行うことを検討するといいでしょう。
海外にも何回忌とか亡くなった人が帰る概念はあるの?
海外では、日本のような「何回忌」といった概念は一般的ではありませんが、代わりに他の特別な記念日が存在します。
例えば、生誕100年や没後250年など、偉大な人物の誕生や死後の節目を祝う儀式が行われます。しかしながら、これらの儀式は法事とは異なり、お祝いのような意味合いが強いです。
また、キリスト教には死者の日という特別な記念日があります。この日は、キリスト教徒が故人をしのぶために教会に集まり、祈りをささげます。
まとめ
法事は故人の追善のために行われる儀式であり、一般的には一周忌や三回忌までの回忌を重視します。
法事の回忌の数え方や行うべき頻度は、今回お伝えした内容が一般的ではありますが、地域やお寺の考え方によっても異なります。法事をどのように行えばよいか分からない場合には、菩提寺に相談してみることをおすすめします。また、法事の準備とマナーにも注意を払い、故人を心からしのぶ場として大切にしましょう。